09/16の日記

02:32
衝動
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「おい、」

ゴッドは俺を名前で呼ぶ。
いつもなら、そうだ。
その鋭い目で睨むように俺を捕らえて、自分の言うことに耳を傾けるように促している。
ゴッドが言う言葉は、いつもスリルがあり、俺を退屈させない。
ぞくりとする俺の細胞が、欲しかったモノが急激に得られた時のように、反応を起こす。

「準備は出来てるんだろうな。下ごしらえは、任せた筈だぞ。」

今日のゴッドは機嫌がいい。
仏頂面の彼の機嫌を理解できるのは、この距離にいても良いと許された奴等だけ。
それは、かなり少ないのだけど、それが、さらに彼のブランド感を演出させる。

「勿論。あとは料理するだけさ。」

俺は、決まってふざけた返事をする。大体、いつもなら、真面目な返答か、不機嫌になって怒る。
別にいつものことだから気にはならないが、俺にはユーモアがあるということを忘れないでほしい。

「全員俺が調理してやる。フルコースにするには、素材がわりぃが。」

「ははは、早く食事にありつきたいね!」

「あぁ、張り切りすぎて舌噛むなよ。……行くぞ!」

ゴッドは、口角を少しだけ上げた。
また、俺の細胞は刺激を受ける。
そうか、そうだったのか、俺はこの顔が堪らなく好きだ。

危険な香りのするニヒルな笑みが。
俺を地獄の果てまで突き動かす。


ケイス=ハルク=マリネ





















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