R-18

□鏡
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「ココロの整形手術できればいいのに」

口から零れた彼の不可解な言葉。


「ふふ、どうしたの、急に?」

「幸村、僕歪んでるみたい。」

「は?」


今日の彼は本当にどうしたというのだろう。
発言に脈絡がない。


「幸村を、殺したくてたまらない」


一瞬、何が起きたか解らなかった。


「…ッ?!…っ不、二??…」


どうやら首を絞められているらしい。

俺を殺したいという狂気染みた目を綺麗だと思った。


「あ……っ…!!…!」


苦しい。


その一言が言えない。



中学生の頃はお互い名前しか知らなかった。

代表合宿の時、初めて話をした。

高校は別々だった。

けど、今は大学が同じだ。

そして俺と不二は付き合っている。

付き合いだしてもうすぐ二年。

最近の彼はよく辛そうな顔をしていた。



「…ゲホッ…ア゙ッガ…」


喉元から不二の手が離れた。


「ごめん。ごめんね幸村」

「いいよ…大丈夫…」

「最近、僕おかしいんだ…君が好きすぎて殺したい…」

「ふふ…どうしてだろううれしいな…」



そう言って俺は不二にキスをした。



「不二…シよ?」



首に、鎖骨に、胸に、下へ下へとキスを落としていく。



「不二、泣かないで。俺はずっと、そばにいるよ」


もう一度唇へキスをしたとき俺は泣いてしまった不二にそう囁いた。



「ありがとう、幸村。……おいで」

「うん」


少し照れながら俺は不二の体に跨がる。


「精市、自分でして?」

「…ぅん…」


不二に言われるがまま俺は自分で自分のソコに指を挿入れた。


「…フ…ンン………」

「精市、もっと奥まで指を入れてごらん?」

「…う、ん……ふぁ…ひっ?!」


自分では触った事のない前立腺の部分に指が触れた途端、俺は体をしならせた。快感に体が震えた。


「可愛い、精市…」

「しゅ、すけぇ…も欲し、いぃっ」

「ダメだよ、もう少し自分でして?」

「う、ん」


不二に言われるがままにまた指を動かし始める。


「精市、ごめんね。ごめんね、僕は狂ってる。正常じゃない」

「そん、な。悲しいことっ…あ、ぁ…ん、言わない、で…狂って、い、から…俺を愛して…」

「うん、ありがとう」

「ふふ、あ、あ、あ…イク…だめ、だめだめ、イッちゃうっ」

「いいよ、精市、自分でイきな?」

「アァーっ……」


達した余韻と疲労で俺は不二にくてん、ともたれかかった。


「幸村…」

「…ん?」

「殺したいほど愛してる」

「うん」


俺の頭を撫でながら言う不二は、壊れそうなほど美しかった。

いっそ、この手で壊せたらいいのに…


俺たちの愛情は歪んでなんかない。

ちょっと人と違うだけだ。

俺たち狂ってなんかない。

ただ、ただ。

愛しあってるだけだ。


俺たちまるで、鏡みたい。


終わり

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