テニス/短い夢

□worst
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「このイカれ頭っ死ね」

「馬鹿につける薬がないってのは本当ねっ」


目の前に、ついさっきまで俺に色目を使っていた女どもがいる。


「それを了承して俺と遊んだのはお前さんじゃろ、勝手に好きになって、そんな暴言吐かれるなんてな…お前さんらの方がよっぽどイカれ頭じゃ、死ね」


一人の女を睨みながら俺は言った。



それは一週間前になる。

『俺はお前さんのことを好きにはならないなりよ?』

『それでもいいの、キて?』


さっき俺に死ねと吐いた女と俺は寝た。

ただ人肌恋しかっただけ。

あの女を思う心なんぞ最初から持ち合わせていない。


でもこんなこと今まで腐るほどあった。

あれ可愛いだのこれ欲しいだの

お前らみたいな豚に似合うはずないじゃろ。

毎度そう思うが口はにはださない。


みんなイカれ頭だの死ね馬鹿だの、顔も見たくないだの。

会いたいだの好きだの愛してるだの。


まったく忙しい奴等じゃ。


「話し聞いてんのかよ、仁王っ」

「聞くわけないじゃろ、人の悪口言う奴のはなしなんざ」


朝の朝礼の始まる前の教室は静まりかえってる。


    バチンッ


「てめぇやっぱり死ねっ馬鹿は死ななきゃ治んねぇんだよ」

「馬鹿じゃなぁ、それじゃあ何人の死者が出るんじゃ…お前さんらも馬鹿だから一辺死んだ方が言いなりよ」


クツクツと笑う俺を泣きながら睨んでる女。

それを可哀想だと見つめるクラスメイト。

同じ部活の丸井は特に気にした様子もなさそうだ。


「死ねっ」

「俺を好きになったのが悪い、悪いの」


女どもは慰め合いながら自分のクラスへ戻っていく。


吐き出された毒戯れ言。

気にするわけもない。

むしろ恨まれて気分がいい。


一人クツクツ笑う俺をクラスメイトは軽蔑の眼差しをむける。

事情も内容も知らないくせにの。


馬鹿が死ななきゃ治らないなら何人の死者が出るんじゃろーな…


そんなことを考えながらフラッと教室をでる。


「仁王、朝礼始まるぞどこへ行く」

「先生おはよう、行き先決めとらんのよ」

「なら教室へ戻れ」


首根っこ掴まれて引っ張り戻される。


これも日常。

毎日の事なのにクラスの奴等大笑いじゃ。


さっきの空気は一体どこへ行ったんじゃろな…


薄情なクラスじゃ。




終わり


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