Storys
□雨があがったら
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耳に響く高い電子音が、沈みかかっていた意識を現実に引き戻した。
―――36,9℃。
布団に横たわったまま、灰色の微妙な数字を映し出すそれを、床に投げた。
元々体温の低い私にとっては、そこそこ高い熱。
けれど一般的に見たら、ギリギリセーフのライン。
当てつけみたいに思いっ切り溜め息を吐いてやりたいところだったけど、そのために息を吸うと、乾いた喉の奥が唸って、酷く咳き込んだ。
壁にぶつかって跳ね返ってきたその音が、トドメを刺すように頭に響いて痛む。
ガランと、片付いた部屋には、必要最低限の物しかない。
子供の頃のように、お世話をしてくれる人もいない。
同じマンションに住んでいる友人、由美は、休日の今日はきっと恋人と出掛けていていないだろう。
こんな時、そういう存在が私にもあったら、と思う。
柄にもなく。
雨があがったら、
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