【本】無印夢

□"おかえり"
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沖縄、“炎のストライカー”を探してやってきたそこで再び巻き起こるエイリア学園との激闘
エイリア学園、イプシロンとの戦いが雷門チームの勝利で終わった
勝利、それに大きく貢献したのは、彼

“豪炎寺修也”が帰ってきたとこと


「豪炎寺!」


鬼道はエイリア学園の他の勢力のことを気にしたりしていたが唯や円堂には、今はそんな事どうでもよかった






「サッカー、やろうぜ!」





ただもう一度彼と一緒にサッカーが出来るということが嬉しいから
それを聞いた豪炎寺の表情には驚き、そして隠しきれない喜びが滲んでいた

その時、試合を終えた後で疲れがたまり、まだ覚束ない足取りで唯は豪炎寺のもとへ歩き出す
豪炎寺と唯の気持ちを知っている者にも、知らない者にも緊張と沈黙が訪れた
スパイクがサッカーグラウンドの芝を踏む音だけが聞こえる


「氷星…」


唯の足が止まり、豪炎寺と向かい合う
豪炎寺は制裁、罵倒の一つでも覚悟をしていた
自分で勝手に抜けて、勝手に帰ってきた身勝手な自分に
でも、彼女の口から出てきた言葉はそんな豪炎寺の予想を覆すような言葉

唯はタッと至近距離ながら走り出し、豪炎寺に抱きついた
驚く者、顔を赤くする者、おぉと声を漏らす者、興味深々に凝視する者、笑顔で見守る者と周りの反応はそれぞれ
抱きつかれた当の本人は前の二つだったらしい、驚いた表情で顔を赤くしていた

豪炎寺の胸の中、顔を上げて視線を交える
唯はしっかりと喉の奥からずっとずっと言いたかった4文字の言葉を搾り出した




『…おかえり!』




やっと言えた、言われたその言葉の重みをその場にいた全員がかみ締める
豪炎寺は唯の背中にゆっくりと腕を回しながら「ただいま」と呟きその温かさに身を預けるのであった




(ただいま、おかえりのその言葉)
(言葉が胸に染みるというのはこういうことを言うのだろうか)
(そうだとしてもそうじゃなくても、私は今この時をしっかり胸に刻んでおきたい、な)


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