【本】キミと奏でる愛の旋律

□第13曲
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宣言通り、マサキがサッカー部に入部して、更にサッカー部が賑やかになった。

だがそれに比例して忙しくなるのはマネージャー業務だ。
現在は二年の茜と一年の葵がマネージャー(水鳥はあくまでもマネージャーではない)がいるがそれ以上に部員が多い。
なので今日は奏もマネージャー業を手伝うことになった。


(男共より女子マネたちといた方が安全だしな!By拓人)


「ごめんね奏、練習あるのに…」
『ううん。昔っからお兄ちゃんの裏方の事とかもしてたから』

「神サマと奏ちゃん…!」


神童兄妹の共にいる姿を想像してか茜が勢いよくカメラのシャッターを押す。
眩しいフラッシュをものともせずタンクに水を汲みせっせとドリンクを作っていく奏。


「だからなんだか手慣れてるのね」

『うんっ。裏方も意外と楽しくて好きなの』


奏は屈託のない笑みを浮かべて作業を続けた。
こうやって知らぬ間にマサキの様に心を射止めている事を奏は知らない。
葵と茜はこれじゃあ心配にもなるよなぁと思いなから共に作業をこなしていく。


「そろそろ練習も休憩になる頃ですね」
「早めにしないと…皆が待ってる」
『はい!』


「おーいお前らー!」


『あ、水鳥さん!』
「手伝いに来てやったぜ〜!」


グランド方面から長いスカートとリボンを揺らし、歩いて来るのは自称天馬の私設応援団、水鳥だった。
マネージャーではないものの、水鳥はこうして気まぐれに手伝いに来てくれるのだ。


「なーんか神童の奴がうるさくってな」
「神サマが…?」
『お兄ちゃん?』

「奏が遅い、奏が帰って来ないーって」
「「…あぁ………」」

『そんなにドリンク飲みたいのかな…急がないと』
「「「(えぇ〜……)」」」


言葉の意図をいい加減理解して欲しいものだ。
とは言ってもそれがある種奏の良いところなので周りは何も言わない。
茜に至っては可愛いと小さく連呼しつつシャッターの嵐。
水鳥もあっはっはと豪快に笑い飛ばしている。


「ま、いいじゃねーの!」
『?』


既に片手にドリンクを抱えた水鳥がもう片方の手で奏の背中を叩く。


「そうですね。それが奏の長所ですし」
『葵ちゃん?』

「そう。それがいい所」
『茜さんまで?』


3人の言葉に奏が首をかしげ、作り終えたドリンクを抱えた。
そんな奏の様子に3人は思わず笑を漏らす。

奏に純粋なままでいてもらう為にも、ある程度ならあのシスコン兄貴に付き合ってやってもいいかな、なんて思ってしまうのだった。





マネジなキミ達と休憩時間

(とりあえず、1年のマークは任せた)
(はい!茜さんは2年生の分ですよね)
(水鳥ちゃんは3年生…よろしくね)
(おう!任せときなって!)

(皆仲いいなぁ…)

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