【本】無印夢

□その怒りの理由は
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河川敷のサッカー場
そこにはユニフォームに身を包んだ武方3兄弟に円堂、それに唯の姿
鬼道と豪炎寺はそれを見守っている


「何?雷門って女もメンバーに入れてるの?」
「それじゃあ弱小って呼ばれて当然、みたいな?」


『……』


「(氷星…)」

豪炎寺は先程の、いや、今もであるが唯を気にかけていた
あそこまで彼女が起こる姿は見たことがない
完全に周りの意識をシャットアウトし、罵倒の言葉も耳に入っていないようだった
一体何が唯をあそこまで怒らせているのか、豪炎寺には理解できなかった

円堂がゴールに、唯がゴール前に立つ



「コレはまた面白くなってきたな」
「偵察って言うか決闘って感じ?」

「「「それなら武方3兄弟の力、見せつけてやりましょうか!!」」」


まずは円堂との対決

3人が同時にゴールへと走り出し、距離を詰める
そして武方努が放った“バックトルネード”、豪炎寺のファイアートルネードと回転が逆になっており、蹴りだす際に踵を使う強烈なシュートだった



「甘いぜ!!!」



キーパー正面に飛んでいった為唯は円堂に任せボールを見過ごす
円堂は爆裂パンチを繰り出し、そのボールを止めた
勝利を確信した円堂、刹那


「「せいっ!!!!」」
「……なっ…!?」


友・勝、残り2人がほぼ同時にバックトルネードを繰り出した
円堂は反応することが出来ず、駄目だ…!そう思った時




『アイストルネード!!!!』




それはまるで風、
目にも留まらぬスピードで2つのボールを捌く唯
蹴り返されたボールは先程と同じく友・勝の目の前で跳ね、それぞれの足元へと落下した


「な、なんだと…!?」
「俺達の必殺技が…いとも簡単に…!!」
「いったいお前は……」






『あぁ、そう言えば自己紹介がまだだったね』





呆然と立ち尽くしている武方3兄弟
無理もない、自分達の必殺技がいとも簡単に…それも女に破られてしまったのだから

唯は早々とにフィールドから出ようとしていた足を止め、1度だけ3人の方を振り返って言った







『私の名前は氷星唯。雷門サッカー部のストライカーだよ』





豪炎寺くんと一緒の、ね


それだけ言い残し、唯はグランドから去っていった
止める事も、何も言う事も出来なかった豪炎寺はその背中を見つめ彼女の怒りの理由を改めて探すのだった




(その怒りの理由は)


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