【本】無印夢

□バーベキューに肝試し!
1ページ/3ページ



それはエイリア学園との決着がついた数日後の話


吹雪くんたちがそれぞれ帰ってしまう前に思い出を作りたい、と円堂くんが合宿をしようと提案した事から始まった
イナズマキャラバンの中でも秋ちゃん、春菜ちゃん、塔子ちゃん、リカちゃん、それと私を含む女子の皆はそれとは別に合宿の計画を立てていた
塔子ちゃんの別荘を使う許可が出たので、私達はそっちに
円堂君たち男子の皆は雷門中で合宿

ものすごく豪華な料理を頂いて、傍にあった海で皆で泳いで
私の悲劇(?)はその夕方、トランプゲームをしていた時のリカちゃんのほんの些細な一言からで



「これで負けたモンは後から男子の所に偵察に行くんやで!!」



皆笑いながらも真剣な表情で相手のカードを見つめる

ゲームの内容は、ババ抜き。残りは春菜ちゃんと秋ちゃんと私
持っているカードは既に1枚や2枚だけ
その時私はてっきり冗談だと思ってた
この別荘から学校まではそれなりの距離があるし、行くのは無理だろうと
でも、そんな考えは見事潰される事になってしまう


「私これでアガリですー!」
『えっ?』

「私もっ!」
『え、う、嘘!』


真ん中に置かれたペアの山、自分の手に残るjokerと書かれたカード
勝敗は私の負け
負けちゃったな…そう思っていた瞬間、両腕をサイドから誰かに掴まれた
見てみればそこには満面の笑みの塔子ちゃんとリカちゃんの姿が


「と、言うわけで」
「唯は今から男子の偵察や!」


バババババ
外から聞こえるヘリの音


『ま…まさか…!!』


塔子ちゃんの権力と財力を舐めていた
がっちり両方からロックされた私は、半ば強制的にヘリに乗せられてしまったのだった




「唯ちゃん…大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ!きっと豪炎寺先輩が守ってくれます!」
「その豪炎寺くんは大丈夫だと思う?」
「大丈夫です!氷星先輩に対してだけは奥手ですから」
「…そうだね!」

(さぁ唯!今から豪炎寺を誘惑して来い!)
(えぇ!?ゆ、誘惑って…!?)
(そや!きっと豪炎寺は男から唯を守ろうと近づいてくる!)
(そこを逆手に取るんだ。いいな?)
(いいい、いいって何が!)









一方その頃。バーベキュー中だった男子達


「そーそ!表彰式ン時、塔子の奴ドレスなんか着ちゃって!なんか全然別人みたいだった!」
「ドレスと言えば、リカさんスよ」
「あー!あれウエディングドレスですよね!嫌がる一之瀬さんと強引に腕を組んで」
「“結婚式の予行演習やー”って。ウッシッシ!」
「しかも、総理大臣に結婚式のスピーチまで頼んでたっス!」
「モテんのも辛いな」

「豪炎寺お前、氷星のウェディングドレス見たかったんだろ」
「誰がそんなことを言った」
「顔に出てますよ豪炎寺さん」
「結婚式には呼べよな〜!」
「だから誰がそんな事を…!」
「まぁまぁ豪炎寺くん。でも、あの日はドレスアップしていて、皆キレイだった」
「あぁ。…春菜は美しかった」
「妹贔屓しちゃってるよ、ウッシッ「そんなことはない。正直な感想を言ったまでだ」
「ヒィ…!」

「それよか、豪炎寺なんか氷星のドレス見て思わず声出なかったしな」
「あれは…!!」
「お前“綺麗だ”って一言ぐらい言ってやれよ!」
「気の利かない男は嫌われるよ、ウッシッシ!」
「木暮、ファイアートルネードと爆熱ストームどっちがいいか選ばせてやる」
「ヒィ…!」


●●
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ