【本】無印夢

□エースナンバー
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「もし明日、韓国に勝ったら氷星。お前には豪炎寺が抜けた後のエースナンバーを背負ってもらう」



FFI予選、決勝のファイアードラゴン戦前日
監督から告げられたその言葉に、呼び出されていた唯と円堂は言葉を失った


『…どうしてですか?』


かろうじて絞り出した声は今にも消え入りそうなくらい小さい
唯の体が微かに震えているのを円堂は見逃さない
顔を俯けそうになるが、唯は視線は真っ直ぐ久遠を見つめた


「もう知っているのだろう。この試合勝てば豪炎寺はドイツに行くと」
「それは知ってますけど…でも……!」


『私、エースナンバーは背負いません』



円堂が反論しようとした瞬間ハッキリと言い放つ


「…俺に逆らうつもりか」
『そう取って貰って構いません。このチームのエースストライカーは豪炎寺くんです』



失礼します

そう言って何も言わせないとでも言うように踵を返し部屋を出て行った







知ってる。これが自分の我侭だって事は

それでも私はその背番号は背負えない
この背番号は私が追いかける彼のものだから
この背番号を背負って戦う彼が好きだから
だからこそ背負えない
背負ったら私は潰れてしまう気がする
我侭でいい
エースナンバーは彼のものであって欲しい


だって私のエースストライカーは彼だけだから




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