【本】無印夢

□そっと貴方に
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唯はグランドでの練習の後、マネージャーとしての情報収集をしており食事の席に出てくる時間も人より少し遅い
練習中ですら久遠監督の指示さえあればすぐに宿へと走りパソコンを開く
緊迫したFFIでの情報収集は大切、唯は毎日欠かさずペソコンと向き合っていた
文武両道な唯でこそ出来る技なのだろう、誰も口には出さないがその器用さに1度は驚いたもの

なので唯は宿での食事に関しては秋や春菜、冬花に任せっきりであったが文句を言う物は誰もいない
だがそれ故時に問題が発生する


「あ、豪炎寺くん!丁度よかった!」
「唯先輩を呼んできてもらえませんか!?」
「唯を?」


唯に買出しを頼んだ際、買ったものを何処に仕舞ったかが分からなくなったらしく料理と同時進行で唯に聞きに行かねばならなかったそうだ
自分達の為にしてくれていることなので二つ返事で了解をし、豪炎寺は唯のいるであろう部屋へと足を向ける
コンコンとドアを軽くノックし返事を待つが、いつもならすぐに返って来る返事が無い


「唯?」


名前を呼んでみても返事は無く、不躾ではあったが無返事のままドアを開けた


『ん……あ、豪炎寺くん……?』
「…寝てたのか?」
『ちょっと…』


ドアを開けた音で肩を揺らしうつ伏せていた姿の唯が起き上がる
少しボーっとしているのか目が虚ろ虚ろとしていた
豪炎寺が事情を伝えれば、それならキッチン横の棚にある、と未だはっきりしない意識のまま答える
そのまま手伝いに行こうとしたのか腰を上げようとした唯だったが、それは豪炎寺によって制される事になる


「もう少し寝とけば良い。木野達なら何も言わないだろう」


そう言えば唯は完全に開きかけていた瞼を再び閉じた
静かな寝息が聞こえてくるまでしばらく頭を撫でていた豪炎寺は秋達に事を伝える為静かに部屋を出て行った




(そっとあなたに毛布をかけた)


(先輩、先輩!ご飯ですよ!)
(春菜ちゃん…?ん…あれ、毛布……?)




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