【本】無印夢

□女の友情は今も昔も変わらずに
1ページ/1ページ



自分が子供だった時の友人とは長い付き合いになるとはよく言ったものだ
今日は久しぶりに雷門中学サッカー部関係者の女性陣、唯・秋・春菜・塔子・リカが集まってお茶会の様なものをしていた
夏未は仕事が忙しかったらしく、今回はいない
唯達は今34歳だが友人としての関係は崩れる事なくすっと保たれたまま
やはり大人になっても女性は女性。積もりに積もった話はずっと尽きる事がない


「そういえば唯ちゃん。豪炎寺くんと最近どうなの?」
『ふぇっ!?』


話は女性が永遠に好きな恋愛話に
その矛先は唯、お相手は元雷門サッカー部のエースストライカーであり現在はプロとしてその名を轟かせている豪炎寺修也であった


「秋、今は唯も“豪炎寺”だろ?」
「あっ!そうだったっけ」
「そうですよ〜!もう随分前からですけど」
「あれ何年前やった?」



唯は二十歳の時に豪炎寺と結婚をした
周りからすればそこまでがとても長かった気がする
その結婚ももう14年前の話なのだが未だにその話をされると恥ずかしいらしい
唯は顔を赤くしてストローでちまちまとジュースを吸っていた


「もうそんなに経っとんのか〜」
「ホントだな…早いもんだ」


塔子とリカがしみじみと思い語る
それに釣られて昔を振り返り、春菜が当時いろいろな事をメモ書きしていた手帳を取り出した
すると突然唯が何かを思い出したように唯がバッと顔を上げた


『その……皆にお願いがあるんだけど…!』
「「「?」」」
「なんや言うてみぃ!唯の願いなら何でも聞いたんで!」


リカがドーンと胸を張る
唯はありがとう、と言って恥ずかしそうに顔を俯けた


『えっと…くだらない事かもしれないんだけど…ミサンガの編み方教えてくれない…かな…?』
「別にいいけどどうしてまた急に…?」

『…………修也くん…の……誕生日だから…』
「「「「あー」」」」


4人がポンと手を叩いた
開かれた手帳に書かれていた雷門サッカー部全員の誕生日のメモ
一体何に使ったのか覚えているのは当時の自分だけであろう
そこに書かれた豪炎寺の誕生日を見て一同妙に納得してしまった


「それでミサンガってか」
「豪炎寺さんの為に」
「しかも手作り」
「可愛いヤツめ」

『…ぅ………』


まくし立てられるようにぶすぶすと言葉が突き刺さる
痛いわけではない。ただ恥ずかしいだけだ


「しっかしアンタ等…いくつになってもラブラブやな〜」
『らっ、ラブラブ…!?』
「変わんないと言うか初心のままっつーか」
「なんだか逆に安心しちゃいますよね」
「そうそう。ずっと純情なんだもん、唯ちゃんも豪炎寺くんも」




真っ赤になって縮こまる唯
そんな唯を見て、皆は中学の時と同じように笑うのだった






(しゅ、修也くん!お誕生日おめでとう。それで…これ……)
(これは…ミサンガか……?)
(この前皆に会った時に教えてもらって作ったんだけ…ど…)
(ありがとう。…早速つけてもいいか?)
(…うん!)



●●

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ