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□哄笑する陶器
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「…何で、仁王くんなんですかね」
「ん?」
部室で柳生が唐突に、そう呟いた。
柳は部誌から目を上げて、柳生を見た。
「いえ、柳くんとは全くタイプが違うのに、どうしてお二人が…と」
「俺なら弦一郎と付き合ってる方がお似合いということか?」
「そういう…わけでは…いや、そうですね」
「なんだそれ」
ふふ、と柳は笑う。
確かにそれは自覚していた。
元々は話すことすらなかった関係だった。
何かの拍子で関わって、付き合うにまで至った。
展開に驚いているのは、紛れもなく当の本人だ。
「柳生は、自分と違うタイプは範疇外か」
「そういうことはないですけど、真面目な柳くんが…」
「俺は、お前に思われているほど、真面目でも純粋でもない」
柳生は驚いて柳を見た。
柳はその容姿からか、堅物のイメージを描かれている。
本人は人並みの不埒さも備えているのに、迷惑な話だった。
「俺は猥談もするし、性欲も人並みにある」
「…」
「気持ちいいことだって、大好きだ」
「…」
みるみる柳生の顔が赤くなる。
柳はそれを見て、楽しそうに笑った。
柳生が何か言おうとした時に、部室のドアが開いて、仁王が入ってきた。
「柳ー、なんか真田が職員室に来てくれゆ
うとった」
「ああ、分かった」
柳と仁王を交互に見て、柳生は更に顔を赤くする。
それを柳が盗み見て、口角を上げ、部室から出て行った。
「何話しとったん」
何かを察したらしい仁王が、にやにや笑って近寄ってきた。
柳生は深いため息をついた。
「…なんだか、大切なものを、壊された気分です」
「は?」
「いえ、何も…」
沈んだ柳生の様子に何も言えず、仁王はただ首を捻った。




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柳生→柳じゃなくて、柳生は柳を無垢なものとして大事にしてる、という関係がすき
一応つまらないおまけがあります→
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