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□溺れる雌鹿
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「…意外じゃけぇ」
「ん?」
「お前さんから仕掛けること、あるなんてな…」
家に泊める時点でセックスも込みだということは明らかだったが、まさか柳に押し倒されるとは思わなかった。
「俺だって男だ。相手を乱したいという気持ちくらいある」
俺のシャツのボタンを外しながら、柳は首筋に顔を埋めた。
柳の香りがする心地よさに酔いながら、手で柳の上着をまくる。
「…大人しくしてろ」
その手を制されて、耳元で低い声が響く。
その色気に、ごくりと喉が鳴った。
普段は性の欠片も見せない柳が、こうも変わるとは。
禁断の棺を開けたような感覚に、俺は震えた。
「いい、か?」
熱い中心を撫でながら、柳は悠然と問う。
「気持ちええよ…」
引き寄せて、唇を奪う。
舌を蹂躙して、呼吸を奪う。
柳の息が上がってきた所で、そのまま体勢を変えた。
「…そろそろ、交代」
「まだ、」
「触りとうてしゃあない…」
まだ整ったままの柳の衣服を剥ぎ取った。
早急に中心に触れれば、待ち望んでいたかのように、熱い。
知り尽くした敏感な部分を舐めると、抑えきれない甘い声が脳を揺らした。
「欲しい?」
指を意地悪く動かせながら、耳元で囁く。
柳は小さく頷いた。
「じ
ゃあ、ゆうて…」
「…早く、ほしい」
「で、どうしてほしいん?」
「…何て言ってほしいんだ?」
挑発的に、柳は笑う。
余裕を失わないその凛性は、俺を狂わせるには十分過ぎる。
「…お前さんにお任せするわ」
「そうだな、じゃあ…」
色素の薄い柳の瞳が、俺を捕らえる。
メドゥーサのように、いっそこのまま石にしてほしい。
「俺だけを見ていてほしい」
「…それは反則じゃ」
降参、と呟いて、柳の脚を持ち上げる。
望まれるまま与えて、手足を絡ませる。
深い場所を抉れば、柳は綺麗に背を反らした。
追うように唇を重ねると、柳の指先が俺の頬を撫でる。
惜しむことなく晒された瞳に、背筋が震えた。
「仁王、気持ちいい…」
「柳…」
「あつい…」
恍惚とした表情に、目が離せない。
望まれる以前に、俺は柳しか見ていないのだ。
「っぁ…」
いい所を断続的に突くと、柳が体を戦慄かせる。
腰を自ら揺らしてくるのは、無意識か、意識的か。
恐らく後者で、俺は小さく笑った。
「っく…もう…」
限界を訴える柳の中心に手を絡める。
お互いの腰の動きが激しさを増す。
一層高い声を上げて、柳が自身を解放する。
俺も続けて、柳の体内で爆ぜた。
脱力して、柳の
上に倒れ込む。
荒い呼吸をしながら、柳は満足げに笑みを浮かべ、俺の髪を撫でた。





「また、負けやわ…」
「勝ち負けがあるのか」
布団に潜ったまま、俺は不服を言う。
「何で柳はそんなに余裕なん、つまらん。俺を虐めんのそんな楽しいか」
「お前が俺の嗜虐心をくすぐるから悪い」
「何じゃそれ…」
さらさらした髪に、指を通す。
「もっとこう、余裕がのうて泣く柳が見たい」
「だったら酷くすればいいじゃないか」
「…出来るわけなか」
胸に抱き締める。
鼻先を髪に埋めて、額に口付けた。
「降参じゃ、降参」
ふふ、と柳が笑う。
この温もりがずっと、ここにあるなら。
(一生勝たんでええ…)





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こういう仁王柳が理想なんですが。あんまりないよね、余裕のない仁王て。仁王にかき乱される柳も勿論大好物です。てかもう仁王柳なら何でもいいw←

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