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□ゴド―なんか待たない
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就寝間際に廊下に出て、トイレに向かった。
廊下の電気は既に消されていて、視界が随分悪かった。
そんな中、遠くの方で、二つの影が動いた。
気になって目を凝らしたことが、間違いだった。
そこには、悠馬さんと悠歩さんがいて。
双子であるはずの彼らが、キスをしていたのだ。

一目散、という言葉がこれほど似合うほど、逃げたことはなかった。
息を切らして部屋に戻ると、入江さんが首を傾げた。

「どうしたの、酷い顔して」
「…む、陸奥さん達が…」
「双子がどうしたの?」
「…」

思わず名前を口走ってしまったが、この先を言うべきか。
見間違いだったかもしれないし、ただの、冗談だったかもしれない。
でも、自分の中にしまっておくことは、到底出来そうになかった。

「あー…、もしかして、いけないもの見ちゃった?」

凄まじく葛藤をしていると、入江さんが困った風にこう言った。

「…え?」
「僕も一回鉢合わせしちゃってさぁ、びっくりしたよー」

ちょっと待て。
俺が硬直していると、入江さんは構わず続けた。

「あの双子は結構周りのこと考えないからねー。見た方が悪い、みたいなね」
「…あ、あの」
「あれってやっぱり、気持ちいいとこも一緒なのかなぁ?同じ顔を好きになるって、ちょっとナルシストの気があるってことかなぁ?でも本人からしたらやっぱり別人だから、自慰とは全然違うのかなぁ?徳川くんどう思う?」
「す…すみません、目眩が」

容赦のない入江さんの言葉に、本格的に目眩がしてきた。
そそくさとベッドに入りつつ、行きそびれたトイレにいつ行こうと考えていた。










動揺を振り払えないまま、次の朝を迎える。
早朝練習のために、コートに向かった。

「徳川」

靴紐を結んでいると不意に声を掛けられた。
慌てて顔を上げると、一番会いたくない二人がそこにいた。

「む、陸奥さん…」

おはようございます、と続けると、(恐らく)悠馬さんが、俺に手を伸ばしてきた。

「っっ!!!」

思わず身を強張らせると、悠馬さんの手が髪に触れて、付いていたらしい葉っぱを俺に見せつけた。

「あ…ありがとうございます」

葉っぱを何故か受取ってしまった。
そのまま、何も言わずに二人は踵を返した。
ほっと胸をなで下ろしたのも束の間、二人がゆっくりと振り返って、同時にこう言った。

「「言わないでね」」

背筋が凍り付く。
掌に残った葉っぱを強く握り締めて、浅い息を吐いた。

「徳川?どうしたん、顔色悪いで?」
「何でもないです、何でも……」










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近親ごめんなさい
悠馬悠歩はできてると信じてやみません←
後半の元ネタがこの前行ったとうきょうぜろさんのライブのネタという(どうでもいい)

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