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□既存と空論
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※大学生





夕方四時。
気だるげに携帯を弄りながら煙草を燻らせていると、爆睡していた毛利がもぞもぞと起きてきた。
ぐしゃぐしゃになったベッドを見て、俺は露骨に不快な顔をした。

「またあくとさんは煙草吸って」

そんな機微に気付く奴なら、毛利は毛利という人間をやってない。

「お前と違って大人なんでね」
「煙たいんです!それに、あくとさんに煙草は似合わへん!」

おまけに勝手なイメージを押し付けられる。
俺は溜め息と共に煙を吐き出す。

「突然やってきて、人のベッドで仮眠取るような奴に、つべこべ言われたくない」
「なんや、構って欲しかったん?」
「死ね」
「酷い!」

腰に腕を絡めてきた毛利をそう一蹴すると、大袈裟に泣き真似をした。
泣きっ面に蜂、と心中呟きながら、毛利に向かって煙を吐く。
咳き込む毛利を見て、俺は笑う。

「このあとバイトなんだろ、早く行け」
「いや、まだ早いですわー」

懲りずに絡んでくる腕と、顎を掴む指。
手癖が悪いにも程がある。

「…一本吸ったら、やらせてやるけど?」
「なんやそれ」
「ほら」

重なりかけた唇に、吸っていた煙草を差し込む。
毛利は直ぐ様口から取り出して、うえ、と舌を出した。

「はは、頑張れ」
「…あくとさんのドS」

悪態をつきながらも必死に従う毛利は、本当に犬のようだった。
それを眺めて楽しんでいる自分に嫌悪感を感じなくなってから、かれこれもう何ヵ月経つか。










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散々誰得とか言ってきた寿あくとをやっと書きました…短いけど
付き合ってるけどあくと兄さんは押せ押せな寿三郎に負けただけ…とか色々設定はあるのですが省略
寿月だとピュアになるのに、寿あくとだとどうしてこうも肉食な寿三郎になるのか

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