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□down,down,drown
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※夏合宿があるとして
※袴あく付き合ってます




炎天下のテニスコート。
基本練習を終えた俺たちは、次のメニューに移ろうしていた。
拭えど汗は滴り、喉が渇き、気を抜くと倒れそうだ。
それをかみ殺して、意識を保つ。
ふと周りを見回すと、違和感があった。
三津谷がいない、と合点したと同時、

「おい袴田、三津谷の様子見てこい。今休ませてる。多分熱中症だ」

平等院にそう言われて、俺は指示に従った。
向こうの建物の日陰、と場所を言われたので、そこへ向かう。
すると、上へと続く階段のそばで腰掛けているその姿を見つけた。

「おい、大丈夫か?」

そこはひんやりとしていて、俺も一息つけて感謝した。
三津谷は座った状態で、俺を見上げた。

「あ、随分回復しましたよ」
「ほんとか?」

朦朧とした視線が気になる。
三津谷のそばに置いてあるペットボトルはもう空だった。
試しに三津谷の額や頬に手で触れると、燃えるように熱い。

「今日はやめとけ。倒れるじゃろ」
「・・・」
「とりあえず医務室に・・・」

言いかけた途端、三津谷の腕が伸びてきて、俺の服の襟を掴んだ。
そしてぐっと引き寄せられたかと思うと、首に三津谷の唇が触れた。
ぬるり、と舌で舐め上げられて、全身に鳥肌が立つ。
予期せぬ動きに混乱していると、三津谷が体を離して笑った。

「な、なにしt・・・」
「・・・違う味ですね、してるときとは」
「は!?」
「しょっぱい」
「あ、汗かいとるから当たり前じゃ!!」
「あはは」

三津谷は楽しそうに笑うと、すっと立ち上がった。

「完全回復です」
「・・・は?」
「しょっぱいものが欲しい気分だったので」
「・・・ようわからん奴じゃ」

呆れながらも少し元気を取り戻した三津谷に安堵し、練習に戻った。














結局三津谷は最後まで練習に参加したものの、シャワーの後、部屋に帰ると同時にベッドに倒れ込んだ。
やはり熱があり、手当を受けてそのまま眠りについた。
俺は三津谷を起こさないように、そっと部屋から出て夕食に向かった。
他のメンバーと話をしながら食事を済ませ、部屋に戻る。
道中でスポーツドリンクを数本買った。
部屋のドアを静かに開けると、三津谷が体を起こして水分をとっていた。

「おう、平気か」
「少し熱は下がりました」
「そうか。これ飲んどけ」
「ありがとうございます」

先ほど購入したスポーツドリンクを手渡すと、早速開けて飲み干している。
よほど渇いているようだ。

「・・・昼間はすみません」
「あ?」

俺が明日の準備をしていると、そんな声が聞こえてきた。
一瞬考えて、そして苦笑いした。

「変なことしましたよね、俺」
「首舐めたことか?」
「・・・ええ」

三津谷は居心地が悪そうに笑う。
俺も笑いながら、三津谷のベッドに腰掛ける。
そして今日の昼間の出来事を思い出す。
熱に浮かされた三津谷が、朦朧とした視線で俺を見て、強引に俺を引き寄せて、首の汗を舐め取る。
人の気配を感じる場所で密かに行われた一瞬の行為は、実に、

「えろかったな」
「・・・」
「あの後、練習に集中できんかった」
「・・・すみません」
「おどれは本当に・・・質が悪い」

言うと同時、三津谷の顎を掴んで、強引に唇を塞いだ。
急かすように舌をねじ込んで、お互いのを絡める。
熱で侵された三津谷の口内は熱かった。
歯茎の裏をぞろりと舐めると、三津谷が鼻にかかった声を漏らす。
息苦しいのか無意識に顔を逸らそうとするのを許さずに、三津谷の後頭部を手で押さえつける。
そのまま押し倒して、指で三津谷の体をなぞりながら、キスを続ける。
額から耳、首、胸、脇腹、を指で触れていくと、もどかしそうに体を揺らした。
しばらく夢中になって貪りあった後、唇を離す。
唾液の糸がだらしなく伸び、三津谷の口に落ちた。
それを追うように舌で舐め取って、俺は体を起こした。

「じゃ、ゆっくり休め」
「え・・・」

物足りないと、三津谷の視線が訴えている。
俺は勝ち誇ったように笑った。

「おどれが昼間にしたことと同じじゃ」

煽るだけ煽って、終わり。

「・・・ふふ」

三津谷は悔しそうに、でも嬉しそうに笑い、布団をかぶって向こうを向いた。
俺はため息をついて、部屋の明かりを消し、外に出た。
夜風に当たりに行こうと決めて歩き出す。
あつくてあつくて、このままでは眠れそうにない。

(全部、夏のせいじゃ・・・)

そう心の中で呟いて、小さく息を吐いた。



















―――――
袴田さんが少しだけ優勢ってのも書いてみたかった

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