main2

□チョコレート戦争
1ページ/1ページ

「兄ちゃん、アイス買いにいこー!」
「…」
たまの休みにはいつもこれだ。
まだ幼い妹二人に起こされる。
「母さんと行ってこいよ…」
「深司いつまで寝てるの、起きなさい!」
起きなさーい、と妹のコーラスが頭に響く。
仕方なく俺は布団から這い出た。
「ちゃんとお兄ちゃんの言うこと聞くのよ。手もちゃんと繋いで」
「はーい」
「…」
両手に妹の手を繋いで。
こんな姿、誰にも見られたくない。
急いでコンビニまで行き、アイスを買う。
すぐに帰ろうと手を引くが、二人はここで食べると主張した。
反論しても勝てないことは、経験で分かっている。
結局コンビニの前でアイスを食べることになった。
と言っても、二人の手を繋いだままの俺は、ただ食べ終わるのを待つだけ。
機嫌良くチョコレートアイスを食べる二人を見つつ、溜め息をついていた時に、
「深司じゃん!」
自転車を二人乗りした、神尾と内村がやって来た。
ああ、最悪だ。
「二人乗りいけないんだー!」
「いけないんだー!」
途端に叫んだ妹たちに、二人は焦った。
「…降りてくんない?」
「分かったよ」
素直に降りると、妹は静かになった。
「へぇ、深司が妹の面倒とか見るんだな」
「…普通でし
ょ」
「なんか意外ー、ちゃんと手繋いでるし」
「…ほっといてお前らみたいな二人乗りした奴らに引かれでもしたら大変なんだよ」
「アイス溶けるんじゃね?食わせてやろっか」
「…うるさい」
はしゃぐ神尾と内村に苛つきながら、小さく呟く。
「でもなんか感動、いつも我先に水を飲みにいく深司がね」
「ほんとほんと、いいお兄ちゃんだね」
神尾が妹に、ねー、と近付くと、妹はうん!と頷いた。
「ほら、食べたんなら帰るよ」
「じゃあなー、深司」
「二人乗りー!」
妹にまた騒がれて、神尾は慌てて降りた。
早く去ろうと二人の手を引いて、俺は家路を急いだ。
「…両手塞がってなかったら、殴ってやったのに」



-----
ただ妹が二人ってとこに萌えただけの話

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ