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□あおい空を零した
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※全員同じ高校設定






暴力的な真夏日が降り注ぐ。
連日の猛練習の隙間をぬった貴重な夏休みに、何故か学校にいる理由は、

「何でやねん!何で俺らがプール掃除とかせなあかんねーん!」
「しかも三年は免除とか!入江さんひどいわ!」

そういうことである。
不平不満を漏らす毛利と原を見て、大和が笑いながら歩み寄ってきた。

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」
「大和さんの平和主義!」
「ほら、徳川くんを見習って」

大和が指さす先には、黙々とブラシで床を擦る徳川の姿があった。
ふと視線をずらすと、片手でブラシを動かしながら、携帯を操作する三津谷がいた。

「ヒラゼン隊長!あくとさんがナチュラルにサボっております!」
「誰〜〜がぁ〜じゃ〜」
「うるさい」

一蹴する三津谷に二人は、何で怒られなあかんねん!とまた怒鳴った。

「おーい、みんなー!!」

そんな中、突如響いた声。

「何や、入江さんの声が聞こえる気がするで・・・」
「毛利、それは幻聴や・・・幻有夢現や・・・」

現実から逃れようとする毛利と原を尻目に、再び声が聞こえてきた。

「おーい!!」
「「ぎゃあああぁぁ!出たあぁぁぁ!!」」
「・・・仲良いねー」
「ほんまやなぁ」

毛利と原のユニゾンに、入江と種ヶ島は楽しそうに笑った。

「何しにきたんすか!」
「ん?冷やかしやな?」
「帰って下さい!」

汗だくの一、二年生とは対照的な涼しげな二人に舌を出す。

「そんなこと言っていいのかな?特に毛利くん?」
「へ?」

にやにや笑う入江の後ろから、ゆっくりと現れたのは。

「つ、月光さーん!せっかくの休みに来てくれはったんですか!?」

毛利が誰よりも敬愛する越知であった。

「・・・いやぁ、いっそ清々しいねぇ、その態度の違い!」
「近くのコンビニでたまたま二人に会ったら、来ないかと誘われた」

入江の小言をよそに、越知は冷静に状況を説明した。

「全く、後輩としての礼儀がなってないなぁ。まぁいいか、頑張ってる子達もいることだし」

入江がそう言いながら取り出したのは、きらきらと輝くアイスの箱。

「うおぉぉ入江さん大好き!!」
「流石や!流石入江さんや!」
「・・・」
「お、奏多を黙らせるなんて、二人ともやるやん」

豹変ぶりに声を失った入江を見て、種ヶ島は笑った。

「仕方ないなぁ。二人はお詫びとして、恵んで下さい入江様って言って・・・」
「「恵んで下さい入江様」」
「・・・君たちにはプライドってものはないのかい?」

呆れながらも、プールの中から手を伸ばす二人にアイスを手渡した。
続々と他の面々もアイスを取りに来た。

「何か、魚に餌あげてるみたいー」
「こら奏多、そういうこというなや」
「あはは、だってー」

しばしアイス休憩を取る。
アイスの残り争奪戦も無事終わり、作業を再開することにした。

「入江さんらも手伝って下さいよ!」
「やだよ、この服おニューなんだから」
「女子か!」

嫌がる入江を余所に、越知は静かに自分のズボンの裾をまくっていた。

「ちょっと月光さん!月光さんはいいですって!服汚れますし!」
「別に汚れても良い服だ」
「あかんて!」
「邪魔をするな」

静かな気迫に、毛利は何も言えなくなってしまった。
黙々と作業を始めた越知に、ただ礼を言う。

「しゃあないなぁ、手伝ったろか」
「ちょっと修さんまで?何もう、僕一人だけ悪者じゃん・・・分かったよー」

ため息をつきながら、入江は新品だというTシャツを脱ぎ捨て、上半身裸になった。

「・・・なんや入江さん、急に男らしくなったなぁ」
「ほらほら、手伝ってあげるんだからさっさと動く!」
「はいっ!!」

青い空の下、ブラシの音が重なり合って、響く。

「いやぁ、なんやかんやゆって、」

毛利がその光景を見ながら、口を開く。

「何だかんだ言って、優しい先輩を持って君達は幸せだねー」
「・・・それを俺らに言わせといたら、ええ終わり方やったのに!」











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季節外れにもほどがあるよ!
原と毛利は仲良いといいです

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