連載

□酒と男と葛藤と。アレ、金〇みすゞ?
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名前はひくついた笑みを浮かべる。

「年いくつぅ〜?かわいいね君」

「はあ、23です」

「きゃー!わか〜い」

名前はこの店に連れてきた張本人を見た。

(あのゴリラ・・)

名前は近藤に連れられてスナックすまいるに来店していた。

近藤はお妙に夢中である。

(早く帰りてぇ・・)

怪物のような女達に囲まれて名前はやつれ始めた。

「彼女とかいるの〜?」

「え、いや・・」

「いたって私は構わないよぉ〜」

「はは・・」

冗談がきついぜ、とボソリ呟く。

「名前、どうだ?ここは最高だろう!?」

近藤が得意げに高笑いをしながら問い掛ける。

(最悪だよ。)

名前は目の前のワインをぐっと飲みほす。

「あ〜ら、いい飲みっぷり!」

(飲んでねぇと正気保てねーんだよ)

ぐいぐい

―――――

――――

「っちくしょー・・ひっく」

名前は出来上がっていた。

「あらぁ、酔った顔も色っぽくていいわね」

側にいる女が顔を寄せる。

「香水くせーし、うるせーんだよさっきから」

出来上がった名前に恐いものなどない。

「お前よか俺のほうがよっぽど女にちけーぞ。あんたゴリラの一種じゃねーか」

女は眉をひくつかせる。

「ここはジャングルか・・・?なんで周りゴリラばっかりなんだよ」

「ちょっと名前・・?それって俺も入ってる?」

女は顔を怒りと羞恥で赤らめ席を立った。

「おい、客に酒もつげねーのか」

名前はたちの悪い客へと成り下がった。

「おい、名前飲みすぎだぞ」

近藤が注意するも

「飲んだらいけねーってのか、ああん?」

座った目を最大限に開き、睨みをきかせる。

「いや・・なんでもございません」

名前の迷惑な酔いによって先程の賑やかさは打って変わって静まりかえった。

「お前のそのセンスはありえねーな」

「化粧が濃いんだよ」

名前の罵声は続き、ついにひとりが立ち上がった。

「お客様、今日はこのぐらいにして帰りましょう。ささ帰りましょう」

「おいっ・・」

おぼつかない足取りの名前を女はよっこらせの合図で軽々と肩を支え立たせた。

「・・・・・・」




店の外に出て無言のまま歩く。歩かされていることにようやく気がついた名前は隣のたくましそうな女を見る。

「・・・・・・」

「あらお兄さん、なーに誘ってんの?」

「・・・あんたどっかで会ったことあるような」

「なにそれー口説いてんのー?」

「待て・・思い出す」

名前はだるい頭を垂らせ思い出そうとした。

すると、女がはしたなくまくりあげた着物の足にすね毛が生えている。

それを見てもう一度女の横顔を見る。

「あああー!」

「何?やっと気づいたわけ?」

「お、お前・・万事屋」

「せいかーい。いやぁ、マジ気づかねェまま朝までフィーバーさせられんのかと思ったぜ」

「・・っなわけねぇだろ!」

名前は勢いよく銀時から離れようとすると、バランスを崩してしまった。

「・・・っとあぶねー」

名前は厚い銀時の胸板に顔を押し付けられ救われた。

はたらから見れば相当奇妙な絵づらである。

「・・・・・・」

「おーい大丈夫かって・・」

名前は寝息を立てて寝ていた。

「・・マジで?」

どんだけですかコノヤローとぼやきながら、ふーっと息を吐く。

(綺麗な顔してんなー。色白いし。ああ、なんか触りてェ)

銀時は名前の頬を軽く引っ張る。そして笑みをこぼす。

「こんだけキレイでも一応男だしィ?さすがに姫さん抱っこはねーわなァ」

よっと、と掛け声をかけて名前を背中におぶった。

「眠った奴が悪ぃんだからな。お持ち帰りさせていただきまーす」

銀時はゆっくりと夜の明かりが届かなくなる道を歩いていった。
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