小話

□13年の恋
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高校の同窓会

あいつがいると期待して来てみれば、やはり来ていた

久しぶりに見たその顔は随分と大人びて、綺麗だった

ずっと忘れられなくて

彼女を持ってみてもそれは変わらなかった



「サスケー、オレの隣座れよ」

とナルトに言われた席はごんべの真ん前

気を使ってくれたらしい

オレがごんべを好きなのはナルトにしか言ってない

真近でみればなおさら綺麗で、心臓が高鳴る


オレが座ったのに反応しごんべがチラリと見た

挨拶ぐらいして欲しかったがそれ以降、視線を合わせてくれない


オレは食事中も盗み見るようにごんべばかり見ていたが、やっぱり視線は合わない

それに悲しげなその表情に胸が痛む


こんなに綺麗になったんだ

男の1人や2人いるだろう

そんなに悲しそうな顔してんのは、そいつの事でも想ってんのか?


あれから10年も経ったんだ

オレが今更、気持ちを伝えれば困らせるだけだ


「ナルト、酒ついでくれ」

「へーへー」と面倒臭そうにコップに注ぐ

「それこっちに置け。自分で注ぐ」

「みんなの分なんだから飲み過ぎんなよ」

「早くしろ」

「へーへー」と酒瓶をドカッとオレの隣に置いた

オレは休むことなく飲む

ナルトやサクラはごんべと話をしている


「それにしてもごんべちゃん綺麗になったよな〜な、サスケ」


綺麗になったと分かっているが、再び確認しようとごんべを見ればやっと目が合った


オレだけをもっと見て欲しくて視線を送り続ける


「どーせそうでもねぇとか思ってんでしょ、」


そんなはずねぇだろ

綺麗になりすぎて苦しいんだからよ


「綺麗だ」

「え、」


そんなに驚かなくても彼氏に言ってもらってんだろ?

「酔ってる?何気持ち悪いこと言ってんのよ、」

「酔ってねぇ・・・」


確かに今は酔ってるかもしれねぇが、ここに来て見た時からずっと綺麗だと思ってる


「酒瓶2本空けてるでしょ!それのどこが酔ってないの!」

何でオレにキレるんだよ


「最低・・そんな奴だと思わなかった、」

何だよ、その顔

オレがどうなっても迷惑かけてねぇだろ


「ごめん、もう帰るからカカシ先生によろしく」

「え、ごんべ・・!」

そう言って足早に宴会場から出ていった


周りの同級生は同じように酔ってたり話に夢中でこの事態に気づいていない

それが幸いだろう


「サスケ、追いかけねぇのか?」

「あ?何でオレが。どーせ彼氏でも迎えに来てくれてんだろ」

酒に手を伸ばす


バシャッ!


「いい加減目を覚ましなさいよ・・・!そうやって、忘れられない癖に他の女と付き合って、自分に嘘ついて逃げてるだけだでしょっ!そんなにウジウジした男だと思わなかったわ!・・・ごんべに最低って言われても仕方ない。ごんべはね、彼氏なんてずっといないんだから。あの子は待ってた。でも、私はもうごんべに幸せになってもらいたい。」


サクラは携帯を取り出し電話をかけている


「あ、ケンタさんですか?夜分にすみません。ごんべが帰るみたいなんで・・えぇ、たぶん泣いてます。迎えに・・、」


プツッ―ツーツー・・


オレはサクラの電話を奪いとり、電話を切った


「オレが行く」


足早に宴会場を出てごんべを追いかける


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