小話
□イツワリビト
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目立つ金髪。蒼い瞳。
優しいあなたが大好き。
って言えるものならどんなにいいか。
四代目火影に恋してしまった側近の私。
「もうすぐ出産予定なんですよね?クシナさん」
「ん、そうだよ!」
「性別わかってるんですか?」
「男の子!」
「嬉しそうですね」
「ん!そう見えるかな〜」
「はい、かなり」
叶うことのない想い。
「ごんべ!この書類できたよ」
「早いですね。よくできました」
「ん!早く家に帰りたいしね」
家に帰れば愛するクシナさんが待ってる。それに出産が近いから心配なんだろうな。
そんな家族思いなところも大好き。
でも叶うことのない想いなら募らないほうがいい。
「私これ、上役に提出してくるんで帰ってもいいですよ」
「ん、いつもありがとね。それじゃお言葉に甘えさせてもらうよ」
相当早く帰りたかったのか瞬身の術でシュンッて消えてしまった。きっともう家に着いた。愛するクシナさんともうすぐ生まれる息子さんがいる場所へ。
コンコン―
「失礼します。先生―」
ってごんべしかいないじゃないの。とカカシが入ってきた。
「ね、先生は?って、何で泣いてんの?」
「な、泣いてない」
「泣いてるでしょ。ほら頬に」
と私の頬の涙を人差し指ですくった。
「先生と何かあった?」
「あ、あるわけないでしょ!先生にはクシナさんがいるんだから、」
「じゃ泣いてたのは否定しないんだな」
「これは、」
私だって分からない。何で涙なんか流してるのか。勝手に出てきたんだ、知るわけない。
「いい加減諦めれば?先生のこと」
「は!?何わけわかんない事言ってんの?」
「そうやって先生の事になるとすぐ慌てたりするからバレバレなのー」
「・・・言わないでよ、ミナトさんには」
「さー、どうしよっかな」
「お願いっ!」
「言って諦めつければ?」
いい加減。そう言ったカカシの頬をバチンッと叩いた。
「あんたみたいに・・堅物な奴には絶対わかんない!人を想う気持ちなんて、」
バタンッ!
強く扉が閉まった音。ごんべが部屋から出ていった。泣きそうな瞳で。
「・・・分からないわけないでしょーよ」
オレだって人間。
好きな女ぐらいいるよ。
ま、それはお前。
だからオレだって、叶わない想い秘めてるわけだし、お前の気持ちわかるよ。
いい加減諦めろよ。オレをちょっとは見てよ。
先生の事早く忘れろよ。
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