小話

□大好きなあなたへ
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降り続く雨のなか、たった今消えた命の前で手紙をただ握りしめて立ち尽くす。

サクラはしゃがみこんで大声で泣き続け、サイは訳も分からず襲ってくる悲しみに不快な顔をして。






この手紙を読んでいるということは、私はもう死んだのですね。きっと戦地で寿命を向かえたんですよね。この手紙がどうかあなたに読まれることを願います。
私は臆病でした。病気だったことを隠していたから。みんなと一緒に戦えないのが何よりつらかった。
それだけじゃない。本当の気持ちをずっと隠していたから。好きでした、あなたのこと。いえ、愛していました。
それはこの手紙を破り捨てて自分の口で伝えるつもりでした。でも、いつまでもこの手紙を持っていた臆病者です。

私はあなたを守って死ねましたか?






止まない雨は彼女の涙か。それとも俺の涙か。


「ナルト、サクラ、そろそろ彼女を暖かい場所へ移してあげましょう」


ナルトは「おう」と小さく返事し、手紙をポケットにしまった。


彼女を優しく抱き上げる。



「最初に手紙読むのがオレだって、なんで分かってたんだってばよ」



彼女は優しく微笑んでいた。




end.

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