イナゴ
□抱きしめて、離れて、また抱きしめて。
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あれから
何年経つのだろう…
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「えっ…?」
突然の君からの言葉。
「先輩、……距離を置きましょう」
数秒考えて
やっと言葉の意味を理解した。
「は?…なんの冗談だ…狩屋…笑えないぞ………、」
本当は分かっていた
言葉の意味なんて
だけど
どうしても嘘だと思いたかった。
「別れましょう、先輩…」
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あれから
連絡をしても、ずっと繋がらない
何処へ行ったのかも
分からない。
ああ
そうか。
俺は自分が思っている以上に
君に溺れていたんだな…
「っ……」
泣かないと決めたはずなのに
「なんでだ……」
拳を強く握りしめて、
泣いた。
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*抱きしめて、離れて、また抱きしめて*