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□play with toys
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後になって思い返すと、あの時の俺はどうかしていた。
いくら未知な状態だったからって、何も泣き喚くなんて真似しなくても良かったと落ち着いた今となっては思う。

でも、その時の俺は気が動転していた。
頭の中は快楽で侵されそれでなくても正常な働きをしてはいなかった。
言い訳にすぎないけど、いつもの俺じゃなかった。

だから、萎えた状態で射精を繰り返す自分の性器を見た時、俺は子供みたいに剣城に泣きついてしまった。


「…つっ、つうっ、ぎぃー…っ!
おかっ、…しッ!おか、しく…、なっ、ちゃぁ…、たぁ……ッ!」

一気に恐慌状態に陥ってしまった俺は、癇癪を起こした子供みたいに泣く事しか出来なかった。
訳が分からなくて泣きながら首を振った。
でも首を振るという些細な動作でもおかしくなった身体は簡単に反応を示す。
ダラダラと粗相を続ける性器を俺は自分の意思ではどうにも出来ない。
ヒックヒックと嗚咽を漏らしながら泣く俺を、剣城も困惑した表情で見つめてくる。
それは剣城にしては眉の下がった顔で、一目で心から困ってるってはっきりと分かるものだった。
ズキンって心が軋んだ瞬間、何故か繋がった箇所もズクンと脈打って質量を増した。
剣城だって困ってるくせに、この行為を中断するつもりは無いらしい。


「はぁ…ッ、はぁ…ッ!つ…ぅぎ、の、…ば、かぁ…ッ」

剣城も俺と一緒だ、って思ったら癇癪は更に止まらなくなった。
お互い心とは裏腹に身体は更なる快楽を求めてるって気付いてしまったから。
俺の言葉に剣城の眉間の皺は険しさを増す。
それなのに剣城は我慢出来ないといった雰囲気で何も言わずにいきなり激しく俺の中を突き上げた。


「く、ハァ…ッ、んッ!」

トプッてその律動に合わせてまた白濁が零れ落ちる。
ソファで仰向けになってる俺を床に膝をついた状態で剣城はやや下から突き上げてくる。
お腹側の肉壁を剣城がゴリゴリと押し付けるように擦るから、俺は声が抑えられないで口が開けっ放しになってしまう。


「あ、んッ!…くぅ、んッ!、…はッ!」

ああ…!こんなの声我慢出来る方が絶対おかしい。
だって俺の性器の快感神経を内側から擦りあげてるみたいなんだから。
しかも指とかじゃなく、剣城のチンチンで。
…おかしくならない方がおかしい。


「…ハッ、イキっぱなし、とか、エロすぎッ!」

「あんッ!あんッ!…ハッ、もぉッ…ば、かぁ…ッ!」

もう全身が色々な体液でぬるぬるだ。
しかも俺だけじゃなく剣城も。
突き上げる度に、剣城の汗ばんで欲情した顔が俺の顔に近づいてくるのが本当にヤバい。
紅く発情に染まった瞳で俺が感じまくってるのを隈なく見ているかと思うと恥ずかしくって逃げたくなる。
しかも感極まったみたいに瞳を時折閉じたりしてる。

「ん、ああッ!もッ!…やぁーー…!つぅ…、ぎぃーー…ッ!」

剣城が感じてるって、
俺の身体で感じてるって思うとキュキュキュンッて全身で甘く疼いてしまう。
これ以上無いってぐらい感じてるのに、剣城の視線一つで更に上に昇ってしまうのが怖い。


「…クッ!もう…ッ!」

切羽詰まった呟きに剣城の限界が近い事を知る。
その声にさえゾクゾクッとさせられたのに、何を思ったのか剣城は俺の萎えたままの性器をギュッと握った。


「〜〜〜〜〜ッ!」

あまりの刺激に言葉になんてならない。
ビーンと弓なりになった俺に剣城は決定的な一言を告げる。


「先輩も…!」

与えられた刺激と、あまりの言葉に頭が真っ白になる。
俺も…って、もうこれ以上イける訳ない。
もう何回イったか分からないぐらいイキ続けているのに。

「む、りィ……ッ!」

俺の訴えは剣城の口の中に消えていく。
貪るような激しいキスに、俺の中の理性が凄い勢いで流されていく。

「アッ!ヤァッ!つう、ぎぃー…!つう、ぎぃー…ッ!」

ぬるついた舌が絡んで、激しい突き上げに耐え切れなくて離れていく。
離れた僅かな隙間しかお互い息をする暇がないから、剣城の荒い息が首に掛かる。
全身が揺さぶられて、性器まで握られて。
俺の肌に剣城の熱がダイレクトに伝わってくる。
欲望で体中が沸騰しそうに熱い。

剣城が激しく擦りあげる度に、ズンズンと身体の奥から変な感覚が湧き上がる。
俺はもう怖くなってしまってキスさえ続けられずに剣城に縋った。


「ヤァ…ッ!また、へんあの来たッ!
へん、あの…ッ、キちゃうううう!!」

さっき…、剣城にいきなり挿入された時に感じた感覚と同じ感覚だ。
でもいきなりだったさっきと違って、今度は身体の奥から這い寄るように湧き上がっている。

「ヤァァーーッ!らめ、らって!らめ!らめ!らめぇええ!」

駄目って言ってるのに剣城は動きを止めてくれない。
その頂の向こうが怖くて堪らないのに、剣城は無理やり俺をその頂に連れていこうとしている。
俺は必死でその頂のぎりぎりで押しとどめようとしてるのに、そんな俺の努力なんてあざ笑うかのように快感は待ってはくれない。


「アッ!アッ!ヤッ!らめ!らめ!アッ!ヤッ!」

俺は来るべき衝撃に剣城の背中にぎゅうっとしがみ付いた。
もう、頂はすぐそこ、だった。


「…蘭、丸ッ!」

「ッ!!」

呼ばれなれない名前を呼ばれて、快感を押し留めようという気持ちが飛んだ。
続けさまに奥の方まで熱いのが届いて、何もかもが吹き飛んだ。


「ひぃあああああッ!!」

あんなに必死で堪えたのに、その瞬間は呆気ない程簡単に訪れた。
何も考えられない程の圧倒的な気持ちよさ。
そんな大きな波が俺を攫ってしまった。
からっぽになってしまった俺に、それでも両手いっぱいに剣城だけが残されていた。







 
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