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□play with toys
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剣城は自分が置かれている状況をちゃんと理解しているのだろうか?
半裸でベッドに押し倒されているんだぞ?
俺は本気だぞ?
貞操の危機なんだぞ?
少しは慌てろよ…、なんだか俺がすごく安全な男みたいじゃないか。
俺だって狼なのに。


「まだ…、俺が足りてませんか?」

剣城は慌てないどころか、剣城に跨った俺の腰を引き寄せてくる。
なんだ、この余裕は。
跨ってみたもののそれからどうしていいか分からず攻めあぐねている俺が馬鹿みたいじゃないか。

「いいからお前はじっとしてろ!
全部俺がするから任せておけばいいんだ」

ぐっとまた肩を押さえつければ、剣城はすぐ俺の腰に回した手を下ろした。
両手の平を広げたポーズは「やれやれ」って声が聞こえてきそうだ。
なんでコイツはマウントポジションを取られてるのにここまで余裕でいられるんだ?
少々ムッとした俺は頭の中で剣城にされる手順を一生懸命思い出し、チロチロと首筋を舐めてみた。
どうだ、これで!
ゾクゾクっとして切なくなってくるだろう!?
思う存分甘い声で啼くがいい!


「…フッ」

よし!
剣城から漏れた微かな声に、俺は手ごたえを感じて自分の身体を剣城の肌に密着させて一身に愛撫を続けた。


「…もしかしてずっと俺を抱きたかったんですか?」

それなのに俺の頭上から降ってきたのは、こんな笑いを含んだ剣城の言葉だった。
ムッとして剣城を睨むと、案の定剣城の顔は先程と変わらず余裕たっぷりで、それどころか今では目が笑ってる。
そんなにおかしいか!?俺が男側になりたいのは!

「すごく…、可愛い人ですね、貴方は」

はぁ!?俺に押し倒されてる今の状況で、どうしたらそんな感想になるんだ!?

「お前ッ、馬鹿にしてるだろ!?」

流石に我慢しきれず怒鳴ったっていうのに、剣城は何故か少しだけ切なげな色に染まった目で眉を顰めた。


「いえ…、反省してたんです。
こんな可愛い拒絶の理由に気付かないなんて俺の目は何を見ていたのか、と」

そして寄っていた眉を元の位置に戻すと、今度は俺に見つめて愛おしそうに目を細めた。

「霧野先輩がこんな風に可愛らしく俺に迫ってくれるならもっと早く気付けば良かった、と勿体無くて」

「ッ!!」

なんなんだ、この言い草は!
さっきから何回も「可愛い、可愛い」言いやがって。
一見反省してるように見せかけといて、全然反省してないじゃないか!
もうまどろっこしい前戯なんて止めてやる。
俺は半ば意地になって、剣城を睨んだまま剣城の両足をぐいっと広げた。


「あ…」

露になった其処は、ついさっきまでシてたというのにズボンの上からでも分かるぐらいに自己主張していた。
自分で襲っておいてなんだけど、こ、こんなのどうしていいか分からない。
というか俺はそもそもこんな状態の剣城のなんて理性がちゃんとある時に見たこと無いんだ。
こ、こ、こ、これを今から俺がナニしてあっちも色々シなきゃいけないのか。
う…、なんだか頭がぐるぐるしてきた。


「…脱がさないと何も出来ませんよ?」

「わ、分かってる、そんな事!」

無理!って心の中では早くも白旗を上げているというのに、剣城の催促の言葉に咄嗟に言い返してしまう。
こんな時、自分の負けん気の強さに心底嫌になる。
これで脱がさない訳にはいかなくなってしまった。

俺はせめて一度で済まそうと、ズボンと下着を一緒に掴んだ。


「あ…ッ」

勢いよく下着から飛び出したソレに、俺は思わず顔を俯かせた。
なんで、こんな…ッ!
剣城のソコはあの後ティッシュで拭き取っただけだったらしく、匂いといいどことなくしっとりとした性器といい生々しく先程までの情事の痕を残していた。
そんなの直視なんて恥ずかしくって出来っこない。


「どうしました?もうお終いですか?」

「……」

再びの剣城の催促にも、今度は流石に言葉が出ない。
断言する。
ちゃんと見る事も出来ないのに、これをどうにかなんて俺には絶対出来ない。

その時、俯いてどうしようかとぐるぐる思案していた俺の手を剣城が握った。


「ほら」

そしてそそり立つ屹立を俺の手ごと握り締める。

「〜〜〜〜ッ!」

うわ〜〜〜〜〜〜ッ!!
俺はバッと剣城の身体から遠のいた。
極限まで恥ずかしいと人間て声が出ないものなんだな。
一瞬だけ握り締めた剣城の性器は、やはりどこかしっとりしてて、それでいて凄く熱…。
って、わあああああ!!
ナシ!今のナシ!!
剣城のペニスの感想とか、全然!全然無いし!!
太さも大きさも俺と大差ないのに、剣城のはずる剥けだとか思ってないし!!

俺は誰に思考を読まれる訳でもないのに一生懸命否定を続けた。
多分真っ赤になって誰ともなく首を振る俺の姿はさぞや滑稽だっただろう。




 
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