Event

□play with toys
9ページ/13ページ


「〜〜〜〜…ッ!」

言葉が出てこない。
全身がふわふわして、指の先に微かに感じる剣城のぬるついた肌しか知ってる感覚がない。
びりびりしたまま戻ってこない身体も、抑えられない痙攣も、全部知らない。
剣城が貫いた所と全身が快感で繋がってる。
ぎゅうって剣城の肌に食い込んだ指も、びーんってなった足の先も、びりびりしてる頭の芯も全部剣城のせい。
俺の中にある剣城に俺の全部が支配されてしまってる。
俺の全身で剣城を感じまくってて、苦しいぐらい。
こんなに剣城でいっぱいでどうなるの?俺。
怖いくらいの快感に頭がどうにかなりそうだ。
それなのに、指の先で感じる剣城の肌の感触だけが俺をリアルに結びつけていた。


「…ッ!…ハァッ、苦しいですか?」

息さえ満足に出来ない俺に、剣城が荒い息で訊ねてくる。
俺はもう言葉なんて言えなくて、ハァッて肯定の息を吐き出す。
剣城ならどうにか出来る…?
俺は自分でもどうにも出来ない衝動さえ、それを与えている剣城ならどうにか出来るかもと一縷の希望を抱いて剣城の首に抱きついた。
もう指だけじゃ剣城の感触が足りなかった。


「…今、外しますッ」

首に抱きついた俺の腰を剣城が支える。
ゆっくりと俺の身体が浮いて、ソファの上に優しくと降ろされる。
剣城の俺を扱う手は優しいのに、弾むソファに俺の身体も一緒になってびりびりと新たな痙攣を生んでいく。


「…う、ぁ…な、ぁ…、アッ!」

動かないで!そう言ったつもりの言葉はただの喘ぎ声でしかなかった。
繋がったままなのに離れてしまった剣城の体に、その声は非難の色をも滲ませる。

…でも、それがちゃんと伝わったかは自信が無い。
だって剣城は動きを止める事も俺にくっつく事もしなかったから。
ただ剣城は焦れた手つきで俺の手錠を外し始めた。
ソファに俺を横たえたのは両手を使う為だったんだ。


「え…ッ、な、…ぁッ?」

自由になった手を剣城の首に回そうとして、結局その手は宙を掴んだ。
剣城が手の方だけを外して、俺の性器に装着されたリングの方も外そうとしているのが目に入ったから。

…アレ?…なん、…か、オカシ、…イ!?

俺の性器も、剣城のお腹にもどこにも精液が飛び散ってない。

…え?さっき俺、イったよな…?
だから萎えてるんじゃないのか…?

そんな違和感も、剣城が睾丸を締め付けていたベルトを外した瞬間、一気に消し飛んだ。


「ンーーーッ!」

急な開放感に、身体全部が悦んでいる。
俺の中で膨れた熱が、行き場を得てそこに群がろうとしてる。
剣城はベルトを外すと、それと繋がってる鳥かごみたいなリングも俺の性器から外してくれる。
拘束具を全部外すと、剣城は俺の顔を見た。

「…ッ、あ!」

…あ!…ああ!
俺はドロリと身体の奥から溢れ出そうになる熱に、思わず腰を引いた。
どうしよう…!やっぱり俺の身体、おかしい…!!
ただ目が合っただけなのに、こんなになるなんて…。

過ぎた快楽は毒だって分かってる。
もう既に充分俺の身体はおかしくなってるのに、これ以上何かされたらどうなるか想像も出来ない。
怖い…!

…でも恐怖を凌駕するくらい、その先を期待している。
もどかしげに俺の腰に剣城が手を回しただけで、酷く煽られてしまう。
剣城がこれから存分に与えてくれるのを、こんなにも全身で欲してる。

剣城が俺との間に出来た少しの隙間をまた埋めてくる。
ズンっと、剣城の形に馴染んだ俺の中を更に奥まで突いてくる。


「あうッ!」

その瞬間剣城の動きに押し出されるように俺の性器からこぽりと白い体液が漏れた。
透明のカウパーと混じるようにそれより粘度の高い精液がこぽりこぽりと溢れ出す。


「あっ、あっ、あ…っ!ああーっ、」

壊れた蛇口みたいにトロトロと次から次に滲み出て、止まる気配がない。

「あ…っ、あっ、つう、…つう、ぎぃー…!」

はっきりと目の当たりにした身体の異変に俺は怖くなって、覚束ない口調で剣城を見上げた。


「イってう…!イってう、のにぃー…ッ」


――なんで俺のちんちん勃ってないんだ…?

俺と剣城の腹筋に挟まれた俺のペニス。
睾丸はいつもよりも赤く脹れドクンドクンと脈打って精液を送り出しているというのに、竿の部分は俯いてしまっている。

それなのに精液をハシタナク溢し続ける様子は、壊れた蛇口に繋がれたホースのよう。
トロトロと体液を吐き出しては、俺の下腹部を白く汚していた。




 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ