ほっと

□VS 魔物
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'




「…………ん





………う、……










…………………ンぐふッ!!!」





目の前の男がお湯を飲んだ。

それをこの男は、驚いてから知る。



「ゲホゲホッ…!

ぁべっ!、俺……?…」



顔をしかめながら目を白黒させる彼を見たらもう



「――ッははははは!!!」



もう我慢出来ねぇだろ!

コイツ、面白すぎる…!


笑い声で、ようやく俺の存在に気付いたらしい雅紀は、
そのまん丸い瞳に俺を映した。



「っじゅん!!?」


「遅っせーよ(笑
なっかなか出て来ねーんだもん。風呂。
何してんのかなって覗いたら、

寝てんの(笑

だからいつ起きっかなって、ずっと見てた。


…溺れんぞ?」



しっとり濡れた髪をくしゃっと混ぜる。

雅紀は 困ったような嬉しいような顔で笑って、謝った。



「くふふ

ごめんね、


…心配した?」


「ま、ね

風邪引かれても困るし。あと、



―疲れてんなら言えよ?」



いつも通り、ヤるつもりの風呂だったけど――

恋人の身体のが、俺は大事だ。



「ゆっくり温まってから 出て来いよ?」



湯から少し
出た肩を触ると、冷たかった。

立ち上がり、風呂場から出ようとすると
ビショビショの手で服の裾を掴まれた。



「―う、」


「んね、じゅん、…俺疲れてないっ」


「…うそつけ。

今寝てたじゃん。

疲れてんだろ?」


「そんなことないっ
今寝てたのはッ

お、…お湯のせい!」



『寝てたのは疲れのせい、じゃない理由』を必死に考える雅紀。

…とてつもなく可愛い。



「あったか過ぎてさっ!
なんつか、

えと、
睡魔がねっ

囁くのよ、」


「ふんふん、何て何て?」



面白いから付き合ってみる(笑



「『寝ちゃえぇー!』って。

ミミモトでねっ?」


「だから?寝ちゃったの?」


「―ッそうそう!
これでもか!っつーくらい!


誘われちゃって
襲われちゃって、ねっ

睡魔に!」



今のはちょっと。

…面白くない。

まだ話し続ける口にキスをする。



「、を?じゅん?」


「その声って、





…どんな声?」





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