ほっと

□フタリノヒミツ
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'


「あれ。…なんでそっち側?」


ソファに座ったまま
ヒマそうな相葉さんが取り出したケータイに、
ひとつだけ付けられたストラップ。

なにか違和感を感じてじっと見ていたら、ピンときた。


「あにが?」

「ほらそれ。――ストラップ。」


ケータイを指さして尋ねると、
明らかに動揺する。


「っあ…!/
え、あ、…な、〜なんてゆーか…!」


ケータイには
有名なテーマパークの、頭にリボンをつけたキャラクターがぶら下がっていて。

隠すように手でいじるところとか…

―なにかある。


「それ、ペアだよね?

そっち側って…女の子が持つ方じゃないの?」

「あ、うー…そう、だね…?、でも。……えっとー/」

「相葉さんが、その女の子キャラの方が好きとか?」

「………えー…あー…」


いや、そんな話聞いたことないしな…
第一、返答が濁りすぎてる。

もっと言いにくい正解が あるはず。


「それともぉ

相葉さんが彼女、とか?」


一回、空気を和らげようかと、
正解を言いやすくなるかな、と

小さな冗談を言ってみたら。


「――…ッ!!!」


目を見開いて固まった。

…はい?


「なっ、…なんで…!/」


『んなことあるかーッ』って。
『いや、実はね?』っていつもの相葉さんに戻るかと思っ…


「え。

……ええぇ!?

…、マジで?」


真っ赤になって、"しまった"って顔をする相葉さんに詰め寄った。


「え、誰?
どこの人?
まさか俺の知ってる人?てか、

…本当に男と?」


相葉さんの膝に手をついて顔を覗き込むと

彼の大きな目が潤む。


「ゃ…っニノ、近い…ッ」

「だって言ってくれないんですもん。

ね、

…ホントに?」


なかなか口を割らない相葉さんを問い詰めていたら

楽屋の扉が大きく開いた。


「たっだいまー!」


他のメンバー3人が一気に入ってきて、


「………ニノ。」


…その内一人が俺に近寄ってきた。


「相葉ちゃん困ってんじゃん

ほら、離れて。
…ニノはこっちでしょ?」


俺を元いたソファに座らせた大野さんは
俺の腿を枕にして寝転がる


「りぃ…だあっ/」

「相葉ちゃんも…そんな顔で、泣かないの。

…いつかニノに付け込まれちゃうよ?」

「…付け込まねーよ」


俺の膝枕でいつものように寝てるけど大野さん、

…助けたよね?今。

相葉さんも…なんか嬉しそうだし。


「…大野さん?」

「んあ?」


相葉さんは今までの事がウソのように
翔ちゃんに飛びかかっていったので

腿にある頭を撫でながら聞いてみた。


「あなたが…相葉さんの、?」


チラ、とこっちを見て

すぐ反らして

フッと微笑んでから

フニャ、と笑った。


「――さぁね?」


向こうで潤くんと一緒になって翔ちゃんをいじってる相葉さんを見て
もう一度微笑んだ大野さんは

目を閉じた。


「んじゃ、おやすみぃ」


すぐに寝息をたてる大野さんに呆れながらも頭を撫でていると

――ズボンのポケットから
キーケースらしきものが落ちた。


「大野さん?落ちましたよー…」


寝てる人に話しかけながらそれを拾うと

ケースには



ペアの片割れストラップが

揺れていた。



「―――、


……マジか。」



幸せそうにしやがって。



「…笑えねぇぜこのやろう」



目の前のおじさんが起きないことをいい事に、

頭をくしゃ、とかき混ぜた。



end.

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