逃避行
□2話
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船から降りる降りてやるとルフィくんのしつこさにノイトラがキレていたのは昼間のこと。だがすぐナミさんがこの海の天候が変わりやすいという事と、島の位置を正確に知る事が出来なければ辿り着く事は不可能という言葉にぐっ、と息を詰まらせた。そしてロビンさんのそうしたら怪我が完全に治っていない彼女はまず餓死するか貧血で倒れるか……と言い出し、ノイトラは完全に座り込んでしまった。
ノイトラの足でまといは嫌だから、私は大丈夫だよと書こうとすればそう書くと読んでいたのだろう、苦々しい声で「……名前が治るまでだ……」と呟いた。絶対殺すって目してるけど。
「名前、ちゃんと布団被りなさいよ。冷えて熱でも出したら大変よ?」
『“うん”』
ノイトラは部屋には入らなかった。1人、船の縁に座りただただ、月を眺めた。
「アイツ、なんで喋れねーんだ?」
「知ってどうする」
「どうも。気になったもんでね」
「興味を持つんじゃねえ」
「そんなに関わって欲しくねえのか?」
ノイトラの斬魄刀がふわりと舞った。ゾロの刀が辛うじてそれを止める。なんて力だ、変な圧力がか
かっているように思える。
ノイトラの目には確かな狂気が見えた。
「、それほど、大事か」
「大事?なんだ、そりゃあ。知らねェなあ」
『つ、き』
「「!!!」」
ノイトラが一瞬にしてゾロから離れる。名前が縁に座り月を見上げていた。
『き れ い』
喉を擦りながら彼女は笑った。そして即座にノイトラが縁から引き摺り落とし腕に収めた。
「テメェが鈍臭いの忘れるなよ、落ちたら死ぬぞ」
『“霊圧 目 覚めた”』
「……」
『つ き、 き、れ い』
「……あぁ、解った。もう、喋るな」
歪んでる。彼女の髪を撫でる手も、引き寄せる手も、言葉も全て、きっと、それが正しいのだと思えるほどに。
「悪かったなァクソガキ」
次はないと、その隻眼が告げていた