クローズ、worst

□もう一度
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※ちょっとばかし注意




私と天地寿は実の兄妹だった。割と仲も良かった気がするし、そう思いたいとも思う。

ただ、私の父親という人と母親は2人が幼い時に離婚してしまって、お互い名前しか知らない。

だけど、小学校の時に転校してきた"天地 寿"を見て直感した。


あぁ、お兄ちゃんだ


目付きも悪くてクラスに馴染めない、近付き難い、そんな空気を撒き散らす彼を。直感で私は愛すべき片割れと解ってしまったのだ。

だが、言い出すことは、聞く事は出来なかった。もう私の少ない思い出の中の兄では無いかもしれないと。それを壊すのが怖かった。私の母も病死し、彼と同じように苗字が変わってしまっている。寿がどんな事情があって苗字が変わったかは知らないが、きっと。あの人は解らないだろう。


だから私は、普通に話しかけた。
何日もウザがられようが無視されようが、話しかけ続けた。

小学校まではずっとそんな感じだったと思う。中学校に入ってからは無視もあったが、諦めもあったのか黙って相づちをうつことも増えた気がする。

ある日、小学校から一緒で仲の良かった将五くんと寿が喧嘩した。

将五くんが顔に傷を負ったことも聞いた。でもまずした行動は、病院へ向かった事だった。


「なんで来た」


その言葉に答えることは出来なかった。
貴方が私の片割れだから
そう、答えることが出来たなら、良かったのかもしれない。
そう、この時に。そう答えることが出来たなら


私は無言で隣で泣き続けた。今考えたら相当困っただろう。彼は泣かせた事はあっても泣かれた事はない。


その日から、寿は私と2人でいる事が多くなった。
将五くんは人気者だから、彼と喧嘩した寿は孤立していた。よって私も孤立したが、それは良かった。ただ、片割れと過ごせるのが嬉しかった。


「俺から離れるな」
『うん』
「…お前は、俺のだ」
『…うん』


こう、なるとは思っていなかった訳ではない。
だけど彼には救いが必要だったから

孤立した私と普通に接してくれた将五くん、そして拓海くんが教えてくれた、調べ上げた事実


「天地と、兄妹なんだってな」
『そうだよ』
「…アイツの親父さんは」
『死んだんでしょ』
「!お前、知って、」
『なんとなく解ってたんだ。…双子って面白
いよね。似たような人生歩むんだよ』
「…天地に、言わないのか」
『…今更だよ』
「だって、お前ら」
『今更、なんだよ。将五くん、拓海くん。…もう離れたくないんだよ』


高校に入って、寿も喧嘩が増えた。
でもちゃんと怪我の治療はさせてくれるし、私への気遣いも増えた。
心配な事だらけだけど、どうやらこの双子の奇妙な交際は続くらしい
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