休暇なう

□じゅうはちわ
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『楽しいなァ』


もうやめてくれ、と何度彼は声を上げただろうか。名前は伊山柊炎の決して致命傷にはならない箇所を少しずつ、少しずつ手で抉り、骨を折り……まるで拷問だ。何が一体いけなかったのか、


『おい、まだあるんだろう?やれよ。逃げる敵を嬲る趣味はねぇんだ』
「ッ、“倒れろ”!!!」
『疋殺地蔵、金沙羅に次いで今度は逆撫。もっと楽しいのにしたまえ。ネタ切れかね?』


霊力の塊を手に集め、逆撫から出るその甘い匂いを振り払えば伊山柊炎の顔に絶望の顔が滲んだ。……つまらない。もう終わらせてしまおうか、そう刀を抜けば何を思ったのか伊山柊炎はそこらに転がっていた海軍大将をこちらへ投げ飛ばしてきた。


『へい邪魔!』
「ぐっ、」


軽く蹴ればそこには伊山柊炎の姿は無く、背後からその声は聞こえた。


「卍解、……!!!」
『おお、卍解も出来るのか』


面白いねと笑えば笑っているのもこれまでだと言う伊山柊炎の身体からは傷が消えていた。恐らく肉雫ロ妾だろう。卯ノ花のまで使うとは随分身の程知らずだ、卯ノ花本人に殺されてしまえ。
現れたのは金色疋殺地蔵
。いつ見てもデカいなコイツ。可愛い顔だ。


『まず1つ、私には毒が効かない。ちゃあんとマユリとそういった身体にしてあるんだよ』
「な、」
『2つ、お前は藍染に憧れていると言いながら鏡花水月だけは使わない。何故か?……お前は使えないんじゃない、鏡花水月を忘れているんだよ』
「鏡花、水月……?なにを言って、」
『3つ、藍染惣右介は私の愛弟子だ。お前如きに使わせる訳には行かんのだよ』


ぐしゃりと金色疋殺地蔵(仮)を潰せばへなへなとその場に座り込む。既に静鬼を仕掛けておいたのだ、勝手な事をせぬように。じわじわと藍染の事を語らないように。


「……そうか、思い出したぞ!!!」
『なにを?いきなり話し出すのやめて頂ける?』
「藍染惣右介殿の、あのお方の師にして彼を息子とまで呼んでいた、何故、何故あのお方を見捨てたのですか!!!」


すぅ、と目を細める。そんな事を知って何になるのか、それに何故お前がその事を知っているのか。その事は最重要機密事項、重國や卯ノ花などの古株や喜助やマユリなどの技術開発局の上官、貴族の者しか解らない筈。


「あぁ、書類は盗まれていたヨ」
『テ
メーぶっ殺す』
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