休暇なう

□ななわ
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「この子の心臓が欲しいんでしょう!!?解ってるわよ!!!」
「おい、待てお前さん、何を」
「……心臓!?もしかして、」
『何か知ってるんですかドクター』
「噂だけだが、」


どうやらこの世界はなんでもありらしい、どっかの島に内臓が宝石になる種族がいて、生きたまま解体すればダイヤに勝る硬度に真っ赤に光る美しい宝石が取れるのだとか。それがこの親子か?


「待ちなさい!!私達は貴女達を傷付けないわ!!!」
「かあちゃ、ん、やめて、」
「うるさい!!!!!!お前のせいで……お前がノロマなせいで海賊に捕まったんだ!!!」
「!!おいやめ、」
「ああ゛あああぁぁぁあああぁあああ゛!!!!!!!」
『……あーあ』


あの女、気が狂ってる。そして命が惜しいんだ、息子を犠牲にしようとも自分は生き残ろうって魂胆か。なかなかだなぁ。
息子の左目に指を突っ込んだ女に体温が下がる気がした。ポチが私の隣で「シヌ、ナイ、シヌ、」ってひたすら呟いてる。このままなら、確実に息子は死ぬだろう。


「、ッそ、やりやがった……!」
「や、やめなさい!!!」
「いたい!!!いた、あ、あああ、」

「メル……アンタが死ねば、いいのよ……アンタが……」
「くそ、仕方ねえ止めるぞ」
「でも下手に刺激したら!!」
『面倒ですね』
「!?」
「名前?」
『退いててください、なにを怖気付いているんです』
「名前、なにを」


誰もがそれ以上入ろうとしなかったエリアに足を踏み入れた。 綺麗にしていた甲板は息子が流す血で汚れている。ここが一つの空間かのように、誰も名前を止めようとは、止めることは出来なかった。


『何故息子を殺せば自分は助かる等と愚かな事を思う?』
「……なによ」
『何故我が子を殺してまで生き延びようとする』
「この子が捕まった原因だからよ!!この子さえいなければ私は捕まらなかった!!」
『……』
「かあちゃ」
「黙れ!!!!」
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