リボーン 隅っこ
□1章―雪と琥珀色
1ページ/25ページ
1.雪
闇の中、彼は小さく欠伸を噛み締めた
朝からずっと雪が降り続いてる為、地面は白い
彼の名前は、空沢 雪(カラサワ セツ)
黒いコートに青いサングラスを掛けた謎の少年である
フードを目深に被っている為、髪色はわからない
ぼんやりと浮かぶ夜光灯
並盛町のとある住宅街にて
セツは誰にともなく呟いた
「…泊まるとこが無い」
ざっ、ざっと、足元の雪は音をたてる
止みそうもない雪
2月は、寒い
「…そうだ」
セツは、何かを思いついた様に手を叩く
かじかんだ手が、痛かった
「会った事無いけど…
一か八かだよな、うん
ボンゴレ十代目が、ここには住んでいた筈」
マフィア関係者です
貴方を殺すつもりはありません、泊めてください
つか泊めろ
頭の中で挨拶文句を考え、セツは走り出した
足元の雪が少し邪魔だが、先程沢田という表札を見た気がする
.
.
.
「…あった」
目の前の家を見上げる
普通の一軒家だ
表札には、沢田
セツは迷う事無くインターホンを押した
ピーンポーン…
中の音が、雪が降り積もる静かな外にも響いた
「はーい!」
…そこで、ドアの向こう側から声とドタバタという足音
少年の声だ
(アタリだな…)
セツは不適に微笑んだ
.