赤い稲妻と黒い炎

□第4章、近付く
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21.夢という現


















「…まずは、アイの過去から…だね…
クロルの話は……その後…」




「1番始めに、言っておく事…


アイの――――――…」











「嘘だっ!!!!」


頭に残る映像に必死に首を振る。あんなの、嘘だ、信じない

アイは、知られたくなくて…!知られて、拒絶されるのが、嫌で…!

思い出したくなくて


そう思って今まで過ごしてきたのに、
教えてしまうなんて!!

どうして?彼らは、信頼に足る人物だとわかったのか?

何で、どうしてこんな未来…!



「嘘だ、嘘だ、嘘、あれは嘘、あんな事ッ!!」







「あってたまるかッ!!」


嫌だ、嫌なんだ。あんな事を、思い出すのは
また経験するのは

こんな事になるとわかっていたのなら、ヴァリアーに入りはしなかった!

終わった。これは確実に起こる事

アイは、何か失敗をして…幹部全員に、全てを話す
何故か医療室に集まる幹部に話そうとする自分の顔は、
全てを諦めていた


この運命からは、逃れられないんだ…

ベッドに体を投げ出すようにして倒れた
空しく広がる暗闇に身を浸すと、涙が溢れてきて


「うぅっ……くそっ…くそ…!うっ、あ……ひっ、く……」


今までのは全て、水の泡だったんだ
クロルのいない部屋で、独り、泣きじゃくる

溢れる涙はシーツを濡らす

一瞬にして、ぎりぎりのところにあった精神状態が何処かに落ちた感覚だった


――アイの意識はそこで切れた
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