リボーン 隅っこ
□プロローグ
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深い闇が、そこにあった
むせび泣く様な風の音が、少年の髪を揺らす
同時に、周りの木々もざわざわとどよめいた
…少年はその場に佇み、一切の動きを見せない
闇と同化するコートを纏い、体だけは目の前の草むらに向いていた
身長からして、十代前半
いや、
それより下かもわからない
夜の鬱蒼と茂る森に、彼は立っていた
少年は何も言わない 動かない
――――完全な、静止
1分、2分、3分―――――――4分が経過した頃
少年の前の草むらから、一切の音をたてずに、複数の男が出てきた
彼らは少年に気付いていなかったらしく、驚く様に後ずさる
「な、何者だ!?」
1人の男が叫ぶと同時、1人がライトを少年に向ける
刹那――――――
目を閉じ静かに佇む“純白”が、確かに存在していた
「お、お前は…!!」
先程まで強気だった男達の顔が、みるみるうちに蒼白になっていく
「まさか…その姿……………!!
お前は――――――――」
『…貴方の命を略奪します…』
男が言葉を紡ぐのを許す事無く
少年は動いた
*
少年は目を開け、小さく溜め息を吐いた
目の前には、既に死体と化した男達の姿
それを冷酷な目で見つめ、次に自分のコートに注目する
『馬鹿みたいだ…
粋がって騒いで、最後は無様に散っていく…
そんな奴等、皆壊れちゃえばいいんだよ…』
自らの服に付いた血を禍々しそうに見つめる
その目には、深い憎しみが刻まれている
黒いコートをひるがえし、少年は闇の中を歩いていった
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