リボーン 隅っこ

□プロローグ
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カランコロン…


可愛らしい音をたてて扉が開く
その扉から入ってきたのは、
十代前半ぐらいの小柄な少年だった

すらりとした筋肉がつきながらもどこか華奢な体つき



ベージュの質素な半袖シャツ、灰色の七分丈のズボンという軽装に対して、
手には重そうな黒いトランク


その少年は、迷わずカウンターに座った





自分の目の前にいる美少年を見て、アルバイトの佳瑠(カル)は目を輝かせた



(美少年!!成長したらイケメンになりそうね!!)


何を隠そう、彼女は少年マニアだった
この喫茶で働く人間なら誰もが知っている事である


そんな彼女は、数少ない美少年の登場にかつてない程の興奮を覚える


だが、佳瑠の目を見張るものが、その少年にはあった



左目に付けられた医療用の眼帯

何かの事故なのだろうか?
ともかく、
右目が綺麗な蒼である為、凄く勿体無い



(にしても、綺麗な瞳…
髪は黒だから、ハーフかしら)



顔も外国っぽいし…そうに違いない
佳瑠の機嫌は更に上がる


注文を聞こうと口を開けたら、ふと、少年が顔を上げた




「僕、どこかおかしいですか」


「えっ!?」


端整な顔だけでなく、浸透する様な透き通った美声

それに興奮する暇もなく、佳瑠は素っ頓狂な声をあげていた



「いえ、ずっと見ていたので…


あ、珈琲(コーヒー)ください。ブラックで」



目を見開く佳瑠を尻目に、少年はカウンターの奥のメニュー表を見て言う


「あ、ホットにしますか?アイスにしますか?」


佳瑠は慌てて聞く
だが、きっとアイスを選ぶだろうと思っていた


今は夏真っ盛り
少年の肌に汗は見られないが、涼みにここに入ったのだろう


少年はひんやりとした笑顔でさらっと告げた



「ホットでお願いします」




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