リボーン 隅っこ
□プロローグ
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「えっ!?こんな暑いのに!?」
つい言ってしまった直後、佳瑠はしまった!と思った
だが、今日の気温は40度
うだる様な暑さに、熱中症患者も続出しているだろう
少年が汗をかいていないのが不思議なくらいだ
そんな凛、とした冷たい雰囲気を持つ彼は、佳瑠の問いに微笑して答えた
「暑い時には、冷たいものより熱いものを飲んだ方が、涼しくなるんですよ」
…その笑顔がまた涼やかだ
佳瑠は驚きに目を見開いた
「そうなんですか!?」
そう言うと、少年はええと笑う
佳瑠は、この喫茶で働き始めて3年のベテランだ
アルバイトの身でありながら、いつもカウンターを任せられる
紅茶や珈琲には専門の知識があったのだが、まさかこんな若い少年に教えられるとは
素直に少年に感心した
「勉強になりました
えっとホットですね。しばらくお待ちください」
*
「名前何ていうの?」
「え?」
先程出した珈琲も飲み終わり、立ち上がった少年に佳瑠は聞いた
少年はぱちくりと目を瞬かせて聞き返す
名前を聞かれるなんて思ってなかったのだろう
「名前」
佳瑠は1回目よりゆっくり言った
すると、少年は微笑んで
「秘密です」
佳瑠は勿論その答えに驚いたが
これもこの少年らしいかと思い、微笑みを返した
「そっか
また来てね、秘密くん」
そう言うと、秘密くんはははっと珍しく声をあげて笑った
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