リボーン 隅っこ

□断章―つぎはぎ人形
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コーヒーを淹れながら軽い口調で言う佳瑠に、少年は苦笑した


「知り合いの家に居候してるんです。………場所は、並盛町」


少年に背中を向けていた佳瑠は、ぴたりと動きを止めた
そのまま、ギギギと首を少年に向ける



「凄い遠いじゃない!!」


驚きの顔で叫ぶ佳瑠に、少年ははははっと困ったように笑う

すると、彼女は笑い事じゃないわよ!と必死な様子だ

少年は彼女をからかうのも楽しいな、なんて陰で思った


並盛町からここまでは、電車でも最低30分は掛かる
歩いて来たら2時間は必要だ

しかも今日のような土砂降りだと、交通にも支障が出る

2月で寒いのに…と佳瑠は少年を心配した


「風邪ひかないでよ?」

「…平気です。寒いのは慣れてるんで」


佳瑠はそう…と言い、コーヒーを少年に出した

お礼を言い受け取る少年の姿を見て、ふと疑問に思う


「あれ?コート、脱がないの?まさか、今日急いでるとか?」


そう言うと、少年はあ、と自分の姿を見下ろした
黒いピーコートを脱がずに座っている自分を見て、はは、忘れてましたと言った


コートを脱ぎながら、焦る佳瑠を安心させようと言う


「今日は時間があるので、ゆっくりしていこうと思ってます」


それを聞いた佳瑠は、安心したように息を吐いた
急いでいるのであれば、雑談をしている暇は無いと焦っていたのだろう


コートを足元に置いたトランクに掛ける少年を見て、佳瑠は思った



(秘密くんって、
服装いつもシンプルよね。大人っぽいし)


1番初めに来た時からそうだ。今日は、黒のインナーに灰色のスラックス

靴は黒いショートブーツだった
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