赤い稲妻と黒い炎
□第1章、乗り越えた始め
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「私は雲の守護者になりたいの
その為にはザンザス様とご対面したいわ
許可してくださらない?」
「…お前の足元に座ってる奴は何だぁ゙?」
「私のお付きよ。護衛役みたいなものだわ」
クロルがそう言うとスクアーロは、怪訝な顔をして足元のゼオンを見つめる
(……こんな弱そうな奴がかぁ?寝てやがるし…)
舟を漕いでいたのが、
今では顔を下に向け熟睡である
暗殺部隊のアジト、そのすぐ前に立つクロル
何が起こるかわからない場所で、護衛役が眠りこけるなど普通ならありえない
明らかに護衛役とは思えない行為に、長い銀髪をさらりと揺らしスクアーロは首を傾げた
「……お前ら何者だぁ゙?」
クロルは溜め息を1つ吐き、
結局それなのね、と独り言のように呟いた
「殺し屋でも情報屋でもないわ
でも一般人とも言えない
私もゼオン……このお付きも、訳ありの身よ
もし私達が何かをするようなら、煮るなり焼くなり好きにしなさい
…それでも駄目かしら」
クロルはその紫の瞳で、真っ直ぐ幹部の男を見上げる
それはさながら、
嘘を吐いている目に見える?と言うように
スクアーロは数秒黙り込んだ後、クロルの顔を見つめ言う
「…お前は肝が座ってんのかもしんねぇなぁ゙
だが……実力がわかんねぇ以上、守護者にすんのは無理だぁ゙
その護衛役とやらも、明らかにそうは見えねぇ」
それを聞いたクロルは、先程の真剣な顔を幾分緩め、不適に笑ってみせた
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