ちぇんじ!

□第一話
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「ボクに分かるわけないじゃないか〜」

「……………へ?」



どんな答えが返ってくるのかと内心ドキドキしていた真琴は思わず間の抜けた声を漏らしてしまった。



「真琴、キミが選ばれたのは運命なんだよ。神の気まぐれ、と言っても良いかな。

もう決まってしまっていることなんだ。運命って言う神様のルールでね。
だからキミは他の世界に旅立たなければいけない。
運命に逆らうのは、神に逆らうことと同じ。

…罰を受けることになっても、知らないよ?」



一瞬、息が止まった。
真琴はキリスト教のような神を奉る宗教に傾倒しているわけではない。
だが、神に逆らうという事は、人間が犯してはならない禁忌だと思った。

カタルの、冷めた眼差しに、背筋が凍りつくような感覚を起こした。



「…あははっ!さっきも言ったろう?ボクが語り終えたらそこでお仕舞い、危険な目に遭わせたいわけじゃないんだ。
だから、気楽に行こうよ!」



カタルはさきほどと打って変わって人懐こい笑みを浮かべた。
少し、さっきは幻覚でも見ていたんじゃないかと錯覚するほどに。



「真琴は全然欲がないみたいにリクエストを出さないねぇ〜……
仕方ないからキミが知っている漫画の世界に連れて行ってあげるよ。
そうだなぁ〜〜…あ、"らんま1/2"なら知っているだろう?そこにしよう!あそこはトラブルが尽きなくて退屈しないからね!」



カタルは真琴の意思を聞かずにさくさく物を決めていく。
まるで「ご飯は何を食べようか」というくらいに軽い。異世界に旅立つというのはそんなにも簡単な事なのだろうか?自分は深く考え過ぎていたのだろうか?と不安になるほどであった。



「ねぇ、真琴は良いよね?」

「__っあ、……うん…」

「良かった!じゃあ決まりだね!

さあ、行こう真琴」



カタルは酷く幼くて人懐こい笑顔で、手を差し出した。

この手を取ったら、当分は元いた世界には帰れない。
大切な家族とも、友達とも、会えなくなってしまう。

それでも、この真っ白な世界から抜け出す術も、神に逆らう勇気も、真琴にはなかった。



「大丈夫、ボクができる限りのサポートをするさ。
真琴は、新しい世界を楽しんでいれば良い」



恐怖はある。

しかし、好奇心もあった。



「__よろしくね、カタル」



真琴は、自分の世界に別れの言葉を告げた。




To be continued
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