王子と王女と婚姻話

□第一話
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ミシェルは今、カトライアにいる。

許婚と会うために。


そう、許婚(仮)と口裏を合わせるために。



「おじい様、いまさらなのですが…
何故カトライアなのですか?」

正直なところファザーンに行く事になるのではないかと不安に思っていたミシェルにとってラッキー以外の何物でもなかったが。



「わしの友人がカトライアの法王だからのかのう?」

「え、聞かないで下さいよ…。」


(そう言えばルシア殿下はカトライア法王の孫だと聞いた事があったなぁ。)


ぼんやりと考えながらローゼレット城に着いてしまった。



「ミシェル、ちゃんと自分の意見は言うんじゃよ?」

「分かっています、おじい様。」



子供扱いしないで下さい、と笑顔を浮かべながら言った。
けれど、内心緊張で倒れそうになっている。

いくら年齢に大差がないからと言って、祖父が友人同士だからと言って、
相手は大国、ファザーンの王子なのだから。


(どうしよう、もし断られたら後がない…。)

ずっと断って来たお見合いや許婚の話をやっと受けてしまったのだ。
母はここぞとばかりに話を持ちかけてくるはずだから。



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