王子と王女と婚姻話

□第三話
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声のトーンでいらついた事には気づいていた。

でも、ここまで怒鳴り散らされるなんて予想できるか!!

見た目が大人しそうだったから騙された。こいつ、こういうタイプなんだ。


声を荒げたことで、隣で盛り上がっていた祖父ちゃん達も、給仕をしていた使用人も、もちろん俺も、茫然とミシェルを見上げる。


ミシェルは息を整えると自分が注目の的になっている事に気付き、はっとしてみるみるうちに彼女の顔は青ざめていった。


(やっちまった、見たいな顔してるな…。)


第三王子だろうと俺はファザーンのだからな。
いくら一国の第一王女だろうと、大国と小国じゃ比べ物にならない。

王子相手に怒鳴り散らしてしゃれにならないと気付いたんだろう。


「あ…す、すみません……!」


慌てて頭を下げるミシェルの態度の変わりように少し驚く。


「その…あの…。」


本気で恐れているんだろう。瞳には涙をいっぱいに溜めている。

もう零れ落ちてしまうんじゃないかという時、俺はとっさに声をかけた。


「と、とりあえず座れよ。」


一瞬どもったのは気にしない。
ミシェルの隣に座っていたじいさんが手を引いて座らせる。

すると俺が話しかける前の大人しそうな状態に戻った。
いや、それよりも顔が青ざめているからこのまま倒れるんじゃ、なんて印象も受ける。



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