王子と王女と婚姻話
□第四話
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「ミシェル様、最近は随分とご機嫌がよろしいようですね。」
私共も嬉しゅうございます。
使用人達の微笑みに、こちらも微笑み返す。
「もちろん!だって、夢へ一歩近づく事が出来たのですもの。」
自分で言って嬉しくなりふわふわとした気分になる。
「ミシェル様の笑顔を見ていると、こちらまで嬉しくなっていきますね。」
「本当に。」
使用人達の嬉しい話を聞きながら、ふと外を眺める。
庭に、色鮮やかな花が咲き誇っていた。
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「え?ファザーンに?」
何でよ。嫌よ。だってファザーンっていつも寒いんだもの。
口には出さないけれど嫌そうな顔をするミシェル。
「はい。一度ローゼンベルグ家へ挨拶に向かうように、と。」
母付きの使用人が言う。
(行けって言うなら自分で言いに来ればいいのに。)
正直にいえばミシェルは母が苦手だ。
あれをしろ、これをしろと強制してくるものの、自分で我が子に会いに来る事がないから。
第一仮の許婚が行った所でどうにもならないのだ。
もう嫌で嫌でたまらない。
(こんな伏兵が潜んでいたなんてね…。)
考えが甘かった。
ファザーンという大国を相手に、あの母が何もせずじっとしているなんてありえない事を。
「あちら側にはもう向かうと報告してあります。」
準備がよろしいようで。
「分かりました。
明日、出発するとお母様に伝えてください。」
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