王子と王女と婚姻話
□第五話
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「うっわー…きれい…。」
ミシェルは丘の上にいた。
そこでは街を見渡す事が出来た。
(こんな綺麗な景色、久しぶりに見た…。)
カトライアはとても暖かい気候で、緑が多く花が綺麗に咲き誇っている。
その隣国であるミシェルの母国_リーティアも暖かい方で、だから寒いのはあまり得意じゃなかった。
何より花などの自然の方が美しいと思っていた。
でも、今の景色を見てそれは違っていたんじゃないかと思う。
雪は色がない、というのは間違いだ。
雪の白と、影の青に近い色が、街を彩っていた。
ほとんどが寒色系の色で彩られたその景色が、とても幻想的だった。
(ルシア殿下は、こういう景色を見て育ってきたのかしら…。)
なんてぼんやり考えていると、ミシェルの近くにオレンジのような金色が見えた。
「え!?何!?」
驚いて声を上げると金色もびっくりしたように動いた。
って…
「…ルシア殿下…?」
「あんた、この間の…。」
「脅かすなっつーの。」
「そっちこそ…。」
(…まさか会う事になるなんて…。)
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