王子と王女と婚姻話

□第八話
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ミシェルは今、自室のベッドの上で膝を抱えていた。

つい先刻ローゼンベルグの屋敷から帰って来た。
少ししか滞在を許されなかったからだ。

帰り際にシャルロッテは笑顔を見せてくれた。
でもミシェルの目には空元気にしか見えなかった。


__本当に、私は無力だわ…


元気にさせる事が出来なかった。


「…はあ………。」


本日何度目か分からない溜息をつく。


少し顔を上げて扉の方を見ると使用人達が心配そうにこちらを見ていた。


(人に心配させてしまうなんて…こんなで人を励ますなんて出来るわけないじゃない…。)


使用人達と目が合う。


「…あの、ミシェル様。

もしよろしければ、お茶になさいませんか?」


疑問符を上げるミシェルに対し、使用人達は笑って答える。


「考える事は良い事なのですが…少しくらい、息抜きをしなければ身体を壊してしまいますよ。」


使用人達の心遣いが、嬉しかった。


「…ありがとう。」


使用人の出してくれたお茶を口に含む。
ホッとするような暖かな味だ。

(…私も、こんな風に励ます事が出来たらなぁ…。)




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