王子と王女と婚姻話
□第十二話
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マティアスとアルフレートは、バルタザールの葬儀に出席するためにルシアとエリクを船で迎えに行った。
そして4人で船に乗っていた所、船に黒猫が迷い込んだらしい。
その黒猫と遊んでいるといきなり金色の粉をかけられ船を沈められたそうだ。
何とか助かった4人は動物の姿になってしまっていて、気付かれずに助けられなかったとか。
そこで通りかかった商人の船に乗せられ、商品としてカトライアの市場に連れて行かれた。
そこで出会ったのがティアナだ。
ティアナのおかげでなんとか元気を取り戻し、元の体に戻る方法と、こんな体にした犯人を捜した。
そこで最近になってその犯人にたどりついた。しかしその犯人が姿をくらましてしまった。
そこで元の人間の姿を保てる時間が長くなったため挑発を含め人前に姿を現すことにしたとか。
「…それで…。
分かりました。話して下さってありがとうございます。」
まだ全てを飲み込めたわけじゃないけれど、すでにルシアがアヒル姿から人間の姿に変わる瞬間を見ているのだから信じるしかない。
「何で簡単に信じれるんだよ…。」
「だって貴方自身がその事を肯定しているじゃありませんか…。
それにしても、そんな風に襲われるなんて…
その犯人って…まさかルナールの人ですか?」
呆れたように言うルシアを軽くあしらいマティアスに尋ねる。
「そうだが…どうして分かったんだ?」
「最近ルナールが不穏な動きをしていると耳にしますので…
最後の魔女の話は私も聞いた事があります。
カトライアでのあの悪夢…隣国の事でしたから…。」
(本当に、嫌な予感は当たってしまうのね…。)
ふっと考えに沈む。
バルタザールが亡くなってすぐに王子達が行方をくらました。
あまりにもタイミングが良すぎる。
そのことでファザーンは混乱状態にあり、敵対していたルナール帝国からは良くない噂を聞くようになった。
「…まさか、戦争なんてことになるんじゃ…。」
ポツリと呟いた自分の台詞に、背筋が凍りつくような気分になる。
そんな事になったら…ファザーンもカトライアも大変な事になる。
嫌な予感しかしなかった
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