王子と王女と婚姻話

□第十二話
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「…帰らない…いえ、帰れない事は分かりました。
ローゼレット城に住めない事も…。

しかたありませんね…本当は何とかして帰らせようと思っていたけれど、諦める事にします。」

「すまないな…。」

「そんな…気になさらないで下さい。仕方ないじゃありませんか…。

早く解決するために残っていた方が良いですもの。」


愛想良く笑い、ティアナに「おじゃましました。」と言ってお暇する事にした。

いつまでもここに居たって無意味だと知ったから。



「…ミシェル。」


玄関まで行くと急に呼び止められる。

ルシアだ。


「何ですか?」

「あー…いや、その……。」


煮え切らないルシアに少しイラつきを感じてきた頃、マティアスが口を挿んできた。


「ルシア、ミシェル姫を送っていけ。」

「は!?な、何でだよ!」

「何でも何も、お前はミシェル姫の「わーー!分かったよ!!」


マティアスの話を遮りルシアはミシェルの手首を掴んで歩き出した。



***


ティアナの家から出てきてずっと速足で歩いて来た。しかもルシアは大股だからミシェルはずっと小走りで来た事になる。


「ル、ルシア待って!」


慌てて止まるように言うとルシアは急に立ち止った。
危うくぶつかりそうになったが何とか立ち止る。

辺りはもう国境近く。草原の広がる高台にいた。
ルシアはずっと前だけを見ていたけれど、ゆっくりこちらに振り向く。
その顔がなんとも言えない顔をしていた。


「…どうしたの、ルシア?何だか変だけど…。」

「…あのさ………

心配させてごめん。」


申し訳なさそうに謝るルシアが珍しくて少し驚いた。


「…まったくですよ。シャルロッテ様、すごく心配していたんですよ?
本当に迷惑な人です、あなたは。」

「なっだ、だからそれは…。」

「わかってますよ。
だから、早く問題を解決してシャルロッテ様に顔を見せてあげて下さい。
本当に、心配していたから。」


ふっと笑いかける。

__早く帰ってきて__

そう言う気持ちをちゃんと伝える事だけでもしたいから。


「………ミシェルは…。」

「ん?」

「…はっ!な、何でもねーよ!」

「ええ?気になるじゃないですか。」


「何でもない。」としか言わないルシアをじっと見てみる。


("ミシェルは"…?

……もしかして…。)

なんとなくそうじゃないかなと思い、ふふっと笑ってしまう。


「私も心配してましたよ。無事でよかったです。」

「…へ?」

「ふふっなにアホみたいな声出してるんですか…。」

「な!わ、笑うなって!」


ふはっと吹き出してしまいルシアに怒られる。
それさえも昨日までは出来なかった事で

嬉しいな




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