王子と王女と婚姻話

□第十五話
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ミシェル達が部屋に着くとエリクは笑顔で迎えてくれた。(いつ見てもエリク殿下の笑顔は天使のようです。)


「お招きいただきありがとうございます、エリク殿下。」

「僕のわがままで誘ったんだから畏まらなくて良いよ。」


幼少のころから叩きこまれた礼儀作法で挨拶をすれば、エリクは笑顔を絶やさずにミシェルを椅子に座るように促した。


(ティアナも優しいけどエリク殿下も優しいなあ……。)


自然と浮かぶ笑顔に、何か視線を感じた。

視線の先を見れば何故か不機嫌なルシアの顔。


「……ルシア、何ですか?怖いですよその顔。」


「アヒルだった時は可愛かったのに。」とつけ足せば余計に機嫌を悪くするのは火を見るのよりも明らかだったので黙っておく。
「別に。」と顔をそらされてしまったので深くは追求しなかった。

(結構浮き沈みというか…機嫌がコロコロ変わるのよね、ルシアって………。)

正直に言えばその変化について行くのは大変だったりする。別に悪いって言ってるわけじゃないよ?全然表情が変わらない人の方が会話には困るし…


「ごめんね、いきなり"絵のモデルになって"なんて言って…」

「ふふ、私で良かったら喜んで。エリク殿下はとても絵がお上手と聞いた事がありますのでとても楽しみです。」


「それなら良かった。」と安心したようににっこりと笑うエリク。本当に可愛いと思う。


もう描く準備は出来ていて、後はモデルがいれば大丈夫という時、いきなり使用人の声がかかった。


「エリク殿下、もしよろしければ私共にミシェル様のお化粧をさせてきただけませんか?」

「え?お化粧…ですか?」


驚くミシェルに、「良いね。」と少し楽しそうに言うエリク。


「じゃあ、お願いね。」


エリクの許可を得た使用人の動きは早かった。
ミシェルの手を取り、さっさと部屋から出して別の部屋に連れて行く。

状況をいまいち理解しかねていたミシェルがちゃんと理解出来たのは、化粧をされ始めてからだった。



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