BOOK

□始まり
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ある小さな街に
怜緒《れお》という少年と
怜哀《りあ》という少女の
双子が居た。



side REO

たまたま友達に貰ったチケット。
そのチケットには
キラキラ輝く衣装を見に纏《まと》い、青と白のテントをバックにした絵が描かれていた。
チケットの中央には、
『世界三大サーカス団、ANOTHER SKY』
の文字。
チケットは二枚。
俺は双子の妹、怜哀と行くことにした。
怜哀とは顔や容姿もよく似ている。
違うのは髪と睫毛の長さと瞼が二重か一重かと、身長、体重くらいだ。
もちろん、髪も睫毛も怜哀が長いし。
一重は俺で二重は怜哀。
身長は俺のほうがデカくて、体重もその分俺が重い。

指定席のチケットで、席はA列の5、6番。
ちょうどド真ん中だ。

「怜緒、早く」

怜哀がニコニコしながら手招きする。
「そんな急がなくたって逃げねーよ」
苦笑いで答える俺に、怜哀は
「はーい」
と返事をして俺の横に並んで歩いている。

「あれだよね」

怜哀が指差す先に見えるのは青と白の大きなテント。
テントのてっぺんには、
『ANOTHER SKY』
と描かれた旗が掲げられている。

「怜哀、チケット」
「はい」

入場口に居るスタッフにチケットを渡すと、
「双子ですか?」
と聞かれた。
怜哀が
「そうです」
と答えると、
「美男美女ですね」
と言われて怜哀は機嫌がいい。

指定の席に座ると、賑やかな音楽とともに大きな腹をしたピエロが現れた。
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