魔法の世界
□Prolog 〜プロローグ〜
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「……………やっと、会える………」
星が輝く夜、何処かの草原。そこに立つ人影は、まだ10代半ばの少女のもの。
彼女は、口元に笑みを浮かべ、懐かしむように藍色の瞳を細めていた。
「エスト………」
そっと瞳を閉じて、あの頃を思い出す。
まだ幼い頃。
【悪夢】と呼ぶに相応しい世界に存在した、唯一無二の【光】
あの頃の己は、結局あの【光】を世界に帰してあげる事ができなかった。
だから…
「今度こそ、護ってみせる。貴方が自由に飛び回れるように、笑っていられるように………
私が、貴方の翼となり、盾となって貴方を護るから…」
そう呟いてから開いた少女の瞳は、妖しく輝く紅の色。
………少女の肌には、不気味な刻印が浮かび上がっていた。
「…………時は来た」
そう呟いた後、少女は右手を上に挙げ……
―――――パチンッ
その草原に、少女の姿は無く、再び静寂に包まれていた。